Cランクと見られる松葉の価値は高そうだ(C)産経新聞社 35歳の決断はどう転ぶか。 中日・松葉貴大が11月4日、海外FA…

Cランクと見られる松葉の価値は高そうだ(C)産経新聞社

 35歳の決断はどう転ぶか。

 中日・松葉貴大が11月4日、海外FA権の行使を表明。球団に申請書類の提出をした。松葉は「年齢の部分もあり、宣言するならこのタイミングが最後」と明かし、“生涯唯一”のフリーエージェントを求めた。一方で中日球団は宣言残留を認めており、複数年契約を提示している模様。推定年俸5000万円のCランクと見られ、“お買い得物件”として争奪戦が起こる予感だ。

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 まず、松葉はなぜFA権行使に至ったのか。推察するに、35歳シーズンでキャリアハイを叩き出したことが大きい。7勝11敗、防御率2.72と飛び抜けた数字ではないものの、初の規定投球回に到達(145回2/3)。特に前半戦の内容が素晴らしく、16度の先発機会で10度のHQS(※7回自責点2以下)を達成。こちらも初のオールスターに選出される活躍ぶりだった。

 ストロングポイントは、ゴロを打たせる能力。速球は140キロに満たなくとも、同じ球速帯でカットボールやツーシーム、スプリットを操り、バットの芯を外していく。時折見せるスローカーブも有効で、投球の奥行きを演出。前半戦はこれが毎試合できていた。

 一方で懸念点もある。今季が13年目にして初の規定投球回到達であり、7月以降は白星なし。前政権の頃には「バンテリンドーム限定&5イニング限定」でローテを組まされたこともある。1年を通じて高いクオリティを出せるかどうか、この辺りは慎重にならざるを得ない。ただ、大きな故障歴はなく、適切に使えば破綻なく稼働するのはここ数年で証明済み。耐久性の部分では問題ないだろう。

 残留の線を除き、どの球団が獲得に動いているかは表立って出てこない。それでも先発である程度のイニングを見込める左腕は欲しいのではないか。しかも補償のないCランクだ。例えば先発の層が薄いヤクルト、主力級投手が複数流出しそうな西武などは参戦してもおかしくない。

 中日でチャンスを掴む過程を見てきた者としては、宣言残留して引き続きローテの一角で投げ続けるのが理想だ。ただ、せっかくの権利を得てチャレンジしたくなる気持ちも尊重したい。結局はプロ野球選手も個人事業主。最後は本人が決断するのを待つのみだ。

[文:尾張はじめ]

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