カブスとの契約の行方が注目される今永(C)Getty Images 来年9月に33歳になる日本人左腕の去就が注目を集めて…

カブスとの契約の行方が注目される今永(C)Getty Images

 来年9月に33歳になる日本人左腕の去就が注目を集めている。現地時間11月4日にカブスからのFAが報じられた今永昇太のそれだ。

 様々な事情が複雑に絡む決定となった。今永をめぐっては、まずカブスが3年総額5700万ドル(約87億7800万円)の契約延長オプションの権利を破棄。これに対して今永側も来季年俸1500万ドル(約22億9000万円)の単年契約締結の権利行使を拒否し、FAとなる形となった。

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 もっとも、カブス側は同6日(現地時間)に今季の規定額である1年2202万5000ドル(約33億9000万円)のクオリファイング・オファー(QO)を提示。再契約に向けた動きを見せている。今永が複数年契約を望むか否かによるが、来オフにMLBがロックアウトとなる可能性を考慮すれば、やはりFAとして新天地を模索するメリットは小さくない。

 球界を騒然とさせた今永の動向。いまだ波紋が広まる中で、ローテーションの軸となっていた左腕と複数年契約締結に踏み切らなかったカブス側の意向には疑問の声も飛んでいる。

 現役時代にヤンキースやアストロズなど9球団を渡り歩いたエリック・クラッツ氏は、自身がホストを務めるYouTubeチャンネル番組『Foul Territory』で「QOが事態をややこしている。カブスには残したい気持ちもあるんだろうけど、オプションが付帯する3年契約では納得できないんだろうね。契約が終わるころには35歳になるから」と持論を展開。その上で「俺からすると35歳のピッチャーは全く老けている感じはしない」と強調した。

「今年だって微妙なピッチャーが高額の契約を貰ってた。それに比べたらイマナガとの年間1900万ドルの3年契約はお買い得じゃないか? QOはカブスにとっての都合のいい言い訳の口実のような感じがするんだ。『できることは全部やったけどね……』って言える感じがするんだよ。でも、今回のQO提示はイマナガにとって本当に不利に働くと思う。彼を獲得しようと思ったらドラフトの上位指名権を失うからね。他のチームは獲得に二の足を踏むよ」

 QOに対する元現役選手としての“本音”を漏らしたクラッツ氏は「QOを提示したカブスは『前よりも稼げる金額を提示した』と言うだろうね。でも、本当のところはイマナガの市場価値を下げているだけだ」と異論をぶつけた。

「彼はこの2年、カブスのために頑張ってきた。そんな選手に対してのQOはあんまりだ。最近のフロントの人間たちはデータを見ながら『故障者リストから戻ってきた被本塁打率はリーグで最悪だった』とか言う。彼らはそうやって悪い流れが続くと思い込んでいるんだよ。そういう数字上の分析だけで『いらない』と選択する。

 じゃあ、同じ金額帯で獲れるあれだけのピッチャーが他にいるのかって言いたいよ。ここがカブスみたいなチームの弱点なんだ。ポストシーズンも狙える戦力があるのに最後まで突き抜けようとしない。今回は『成績が落ちたし、もうイマナガはいいや』って感じだ。信じられない。資金力はあるはずなのにね」

 今後は現地時間11月18日までにQOを受諾するか否かを選択する必要がある今永。その決断の行方によって、今オフの移籍市場の情勢も変わっていきそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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