いかなる局面でも選手を「信じた」。そんなロバーツ采配はドジャースを勝利へと導いた(C)Getty Images ドラマチ…

いかなる局面でも選手を「信じた」。そんなロバーツ采配はドジャースを勝利へと導いた(C)Getty Images
ドラマチックな連覇だった。現地時間11月1日に幕を閉じたブルージェイズとのワールドシリーズに勝利したドジャースのそれだ。
メジャーリーグにおいてワールドシリーズを連覇するのは、1998年から3連覇をやってのけたヤンキース以来25年ぶり。21世紀に入ってからは史上初の快挙だった。そんな偉業を成立させたのは、「多くが限界を超えていた」(クレイトン・カーショー談)という選手たちの奮闘に他ならないわけだが、チームの屋台骨となった指揮官の存在もなくてはならないファクターの一つだった。
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様々な起用がピタリとハマった。とりわけ球界をあっと言わせたのは、最終第7戦で先発に抜擢したミゲル・ロハスの起用法だ。
数字やデータだけで見れば、「ありえない」とも言える起用だった。この試合までノーヒットと精彩を欠いていた36歳のベテランだったが、ロバーツ監督は「いける」と判断。この抜擢にロハスも奮起し、なんと1点ビハインドの9回に値千金の同点弾を記録。さらに9回裏の守りでは走者の帰塁を防ぐ好守備を披露し、サヨナラ負けのピンチも防いだ。
球史に残るであろう“神采配”を振るったロバーツ監督には、信念があった。
現地時間11月5日に米ポッドキャスト番組『The Dan Patrick Show』に出演した53歳の熱血漢は、「本当に大変だった。とくに第7戦はね。色々な要素がかみ合わないとああいう展開にはならない」と回想。その上で、「ミゲル・ロハスの起用は一番のポイントだった」と強調し、こう証言している。
「誰もが『彼に代打を出すべきだ』と私(の采配)に疑問を抱いていたはずなんだ。データ的には他の選手の方がホームランや長打を打てる確率が高いからね。でもね、実際のところ、いきなり出ていって結果を出すのは簡単じゃない。とくにああいうシチュエーションとなるとね。だから俺はロハスを信じた。大事なのは、数字じゃないんだ。選手を信じることなんだ」
大舞台で「データではなく選手の“鼓動”を信じた」というロバーツ監督。負けたら終わりという土壇場で自身の支えとなってきた直観を頼った采配は実った。
ありとあらゆる統計やデータ分析が重宝される昨今の野球界。その「常識」からは逆行する考えではあるが、ロバーツ監督は、こうも続ける。
「私の場合は全てが勘だ。2024年のポストシーズンや2020年のワールドシリーズを振り返っても、重要な局面では感覚と勘が全てだった。なぜか人々はデータから離れたがろうとしない。そういう人ほど自分のやり方に固執して、考えを変えようとはしないんだ。でも、野球を本気で見て、理解している人なら分かるはずだ。我々の勝利にデータ分析は関係がなかったってね。本当に大事なことは監督が選手を信じ、選手がそれに応えることなんだ」
野球界を沸かせたブルージェイズとの熱闘の軌跡。その成功の要因は、信念を貫いた指揮官が生んだケミストリーによるものだったと言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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