WRC第13戦ラリージャパンのハイライトのひとつに挙げられるのが、新たに導入された『Toyota City SSS(3.…

WRC第13戦ラリージャパンのハイライトのひとつに挙げられるのが、新たに導入された『Toyota City SSS(3.05km)』だ。昨年、一昨年と豊田スタジアムの中に作られたスーパーSSに代わって、堤防道路や公園を組み合わせた市街地SSが実現した。その狙いと、実現に至るまでの道のりについて、ラリージャパン実行委員会の中神泰次氏に話を聞いた。

豊田スタジアムのスーパーSSは、市内からのアクセスの良さと快適な観戦環境、2台同時走行という分かりやすさで、これまでラリーに馴染みのなかった層にもラリーの魅力を伝える重要な拠点だった。23年と24年の2年間実施され、当初の“ラリーファンの裾野を広げる”という目的は一定の成果を収めたと中神氏は言う。主催側が次に見据えたのは、より多くの人々にラリー本来のスピード感、迫力を感じてもらうこと。24年大会が終わる前から、様々な可能性を視野に入れながら構想が練られた。

もちろん市街地でのSS開催は、決して平坦な道のりではなかった。様々な検討の結果、スカイホール豊田をスタート地点とし、堤防道路と白浜公園を経由するという骨子が練られ、普段から交通量の多い道路を規制することについて、地域住民や関係各所との調整も重ねられた。SS終了時間なども含めた総合的な判断の結果、土曜日の最終SSとして開催される現在の形に落ち着いたという。観客の安全確保のための規制範囲も、FIAのルールに則り定められた。



中神氏は、『Toyota City SSS』の魅力を「バリエーションに富んでいる」という言葉で表現する。
「ドーナツターンや速度の乗る直線もあり、ラリーの醍醐味でもあるスピード感を味わっていただけると思います。色々な場所で観られるので、どういうシーンを観たいかでファンの皆様に観戦場所を選んでいただくという形ですね」

豊田スタジアムは2台同時走行でコース全体を見渡せた反面、スペースの制約からスピードが出にくいという一面もあった。これに対し、今回の市街地SSは、ラリーの持つ多様な魅力を凝縮したステージとなっている。

SS14『Toyota City SSS(3.05km)』は11月8日(土)の17:35にスタートする。