【NASCAR】最終戦 Cup Series Championship/フェニックス・レースウェイ(日本時間11月3日)…
【NASCAR】最終戦 Cup Series Championship/フェニックス・レースウェイ(日本時間11月3日)
アメリカで人気ナンバーワンのレース、NASCAR(ナスカー)の最終戦が開催され、カイル・ラーソンが年間王者を獲得。ドラマチックなレースの勝敗を分けたのは、終盤におけるタイヤ交換だった。
アグレッシブなスタイルを特徴とする33歳の日系アメリカ人ドライバーのカイル・ラーソン。2021年以来、2度目の年間王者獲得を目指し、今シーズンは3勝を挙げて、王者獲得の権利を持つ4台「チャンピオンシップ4」に残った。今回、最も上位に残ったドライバーがチャンピオンに決まる。
しかしラーソンは、ファイナルステージ序盤のタイヤ交換時にピットミスで17位まで順位を落としてしまう。その後、残り100周の時点でベスト10内まで挽回したが、今度は右フロントタイヤのバーストに泣かされる。それでもラーソンは、実況の増田隆生氏がいう「どんなレーストラックでも速い」という安定感を発揮し、28位からまたも着実に順位を挽回していく。
そして残り34周、1台のマシントラブルによりイエローコーションが出されると、この時点で13位だったラーソンも含め、ほぼ全ドライバーが一斉にピットへ入った。ここでラーソン陣営が奇策を取る。『チャンピオンシップ4』の上位2台がタイヤを4本交換していたところ、ラーソンはタイヤを2本のみ交換し、順位を一気に2位まで浮上させたのだ。
オーバルトラックは同方向に回り続けるため、外側と内側でタイヤの消耗具合が異なる。当然、交換本数を減らした方がピットでのタイムロスは減るが、内側のタイヤの消耗具合も気になってくる。視聴者からは、「2タイヤがどこまで影響でるのか」「2タイヤは持たないんじゃ?」「今日のレースを見ると2タイヤはかなり不安」と心配する声も集まり、解説の古賀琢麻氏も「2本がよかったのか、4本がよかったのかというのが、(運命が)わかれますよ」と言及した。
その後、5位をキープしていたラーソンに、残り4周のところで奇跡が起きる。「チャンピオンシップ4」の1台がウォールに激突し、イエローコーションが出されたのだ。ここで多くのマシンが最後のピットストップを敢行すると、ラーソンはまたもや外側2本のみの交換を選ぶ。
結果、ラーソンは追加となった残り2周を見事3位でフィニッシュ。「チャンピオンシップ4」の4台で最も上位に立った。神懸かり的なタイヤ交換作戦が功を奏し、見事生涯2度目のドライバーズチャンピオンを決めている。(ABEMA『NASCAR Groove』/(C)NASCAR)