フェンスに当たった打球の処理に急ぐディーン(C)Getty Images ともすれば、「奇跡」。そう呼んでも過言ではない…

フェンスに当たった打球の処理に急ぐディーン(C)Getty Images
ともすれば、「奇跡」。そう呼んでも過言ではないワンプレーだった。
小さくない話題を生んだのは、今秋に行われたドジャースとブルージェイズによるワールドシリーズ第6戦、9回裏の攻防での“アピールプレー”だ。
【動画】打球がフェンスとグラウンドの間に挟まったのをアピールするディーンを見る
2点をリードしたドジャースが逃げ切りを図ろうとした同回、9回無死一塁でブルージェイズのアディソン・バーガーが放った打球は左中間へ。ここで舞い上がった強烈な当たりは、フェンスの下部に直撃する。
しかし、一塁走者を帰すまいと懸命に処理に当たったジャスティン・ディーンだったが、ボールに触れようとせずに両手を挙げて、打球がフェンスに挟まって取れなくなったと猛アピール。一時的にプレーは継続され、打者走者のバーガーまでも本塁を駆け抜けていたが、直後にアピールが認められ、結果はエンタイトルツーベースに。無死二、三塁からの再開となった。
結局、ドジャースはここで4番手タイラー・グラスノーを投入。一飛と左直からの併殺という“神リリーフ”で逃げ切りに成功。王手をかけたブルージェイズの快進撃を止めると、翌日に行われた第7戦でも勝利し、見事に球団史上初の連覇を成し遂げた。
試合後に「打球が跳ね返ってこなくて、『これは絶対に壁に埋まったな』と思ったんだ。もう直感を信じてプレーしたよ」と振り返ったディーン。彼が仮にボールに触れていれば、バーガーのランニングホームランも認められていたと考えれば、絶体絶命の危機で冷静な判断が光ったと言えよう。
もっとも、優勝の希望を断たれたブルージェイズ側にとって今も疑問の募る判定と言える。地元紙『Toronto Sun』の取材に応じたアイザイア・カイナー=ファレファは、「正直に言うけど、あの打球は壁に引っかかっていたわけじゃないよ」と強調。ディーンのアピールと審判の決断に不満を漏らした。
「僕は見たよ。あのプレーは審判が彼(ディーン)に有利な判定を下しただけだ。テニスボールがフェンスに引っかかってるのを想像してみてくれ。ボールは動かないだろ? ただ、そこ留まって、ハマっているだけだ。でも今回はそうじゃなかった。あのボールはフェンスの下で動いてたんだ」
フェンスに当たってからも打球が「動いていた」と証言するカイナー=ファレファは、「確かに彼のアピールは認められた。でも、僕からすると、あれが正当だったかどうかはわからないよ」と嘆いた。
スポーツに「たられば」は付き物。だが、32年ぶりの世界一を逸したブルージェイズ戦士にとって、シリーズの流れを変えた“ジャッジ”に苛立ちは隠せないようである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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