SVリーグ注目選手インタビュー: 後藤陸翔/東京グレートベアーズ(後編)>>>【前編】後藤陸翔は半年前の号泣を経てさらな…
SVリーグ注目選手インタビュー: 後藤陸翔/東京グレートベアーズ(後編)
>>>【前編】後藤陸翔は半年前の号泣を経てさらなる高みを目指す 対戦して印象に残った強豪国とは?
「もちろんチームを勝たせたかったという思いもあるし、昨シーズンで引退や退団する人もいた。あのメンバーで戦える最後の試合でもあったので。もっと勝ち進みたかったし、そのためにもっとできることがあったんじゃないかなと......。後悔の残る試合でもありました」
昨シーズン、SVリーグのクォーターファイナルで敗れたあとの涙の理由について、後藤陸翔はそう振り返る。そして「もっと強くならなければならない」と、自身に言い聞かせるように何度も繰り返した。
「とにかく結果を残すしかない」と意気込みを語る後藤陸翔
photo by Shogo Murakami
ではセミファイナルに勝ち進んだジェイテクトSTINGS愛知や、最後に頂点に立ったサントリーサンバーズ大阪ら上位陣と、グレートベアーズとの違いはどこにあったのだろうか。
「レギュラーラウンドでも何度も対戦している相手でしたが、チャンピオンシップを突破するには、やはりひとつ強烈な個性が必要なんだと思います。チームワークが完成していて、協調性もある上で、飛び抜けた強烈な個性を持っているチームは強いと感じました」
リカルド・ルカレッリ・ソウザ(STINGS愛知)や宮浦健人(当時STING愛知、今季からウルフドッグス名古屋)など、最後にボールを託される選手が「絶対に自分が決めるんだ」という強い意志で試合に臨んでいるように見えたと振り返る。
「特にルカレッリ選手は20点以降に強かった。やはりオリンピックでメダルを取っているような選手は、大事な場面に強い。シーズン中も序盤から終盤にかけて、どんどんパフォーマンスを上げていった。ファイナルでも決定力が高かった。そういう高め方なども勉強になりましたね」
ただそれは、前のシーズンにチャンピオンシップ進出をあと一歩のところで逃したグレートベアーズにとって、そのステージに立たなければ味わえなかった悔しさでもある。
「ワンステップ上がれた充実感はありました。ファイナルでの戦い方や、ギアの上げ方を学べた"大事な負け"だったんじゃないかなと。今はそう捉えています。うちは毎年ステップアップしているクラブ。成績もそうですし、観客動員数も。それでもベスト4は、最低の目標だと思っています。そして、もちろん狙うのは優勝です」
【チーム戦略に基づいた技術練習】
SVリーグを牽引するクラブのひとつ、グレートベアーズの姿勢を後藤自身も体現するつもりだ。
「プレシーズンマッチでは、大竹(壱青)さんがオポジットに入る時もありました。大竹さんはブロックがいいですし、ミドルブロッカーに転向したとはいえ、もともとはオポジットで日本代表でも活躍した選手。長期戦を戦う上で、そういったオプションも大切な戦略ですよね。それ以外にもカスパー(・ヴオリネン)監督はいろいろなアイデアを持っている人なので、期待してほしい」
今シーズン、グレートベアーズは昨年から在籍するアレックス・フェレイラに加え、アルゼンチン代表のポイントゲッター、ルチアーノ・ヴィセンティンも入団し、アウトサイドヒッターの層が厚みを増した。今季ここまでの2試合では(10月31日現在)、彼ら外国籍選手の対角に後藤、柳田将洋といった日本人選手が入る布陣が多く、これがチームの基本方針となりそうだ。
「外国人選手と対角を組んだときに、彼らの攻撃を生かしたい。今季はそこで僕か、僕ではない日本人選手とリベロのふたりで、フローターサーブをレシーブすることにトライしています。この形は昨シーズンにはないシステムで、だからこそ自分がコートの広い面積をカバーしつつ、パイプ攻撃に入れるよう練習を積んできました。レシーブしたあとにコケて終わらず、すぐに攻撃に加わる意識を大事にしてきました」
スピードアップを意識した身体作りに始まり、チーム戦略に基づいた技術練習を積み重ね、今シーズンのために準備を進めてきた。
「新しく入った外国籍選手は、同じポジションで高め合っていく仲間。良いところを盗みつつ、チームとして勝てる形に繋げていけたらいい。それに外国籍選手と僕らでは、チームから求められる役割が違います。チームのバランスを取るのが、僕ら日本人選手の役目。ミスをしない、安定感のあるプレーが大切だと考えています。そういった役割を44試合通して全うすることが、大事になってくるんじゃないですかね」
【「とにかく結果を残すしかない」】
そして、グレートベアーズは今シーズン、ホームゲームでの観客動員12万人という目標を掲げている。選手として意識はするかと尋ねると、後藤は語気を強めた。
「とにかく結果を残すしかないと思っています。勝つことで注目は集まると思っているので。
関心と興味を持ってもらうには、常に上位にいなければいけないし、強さというのは、新しいお客さんを呼ぶきっかけにもなると思っています。僕らのような取り組みをしているチームが優勝すれば、次のシーズンはまた違った景色が見られると思いますし、それがチームだけにとどまらずバレーボール全体の人気にも繋がると思います」
東京グレートベアーズとともに、チャレンジと進化を繰り返す後藤のプレーに今シーズンも注目したい。