暦は11月に入り、Jリーグも最終盤へと突入。優勝争い、あるいはJ1生き残りをかけ、その戦いは激しさを増している。202…

 暦は11月に入り、Jリーグも最終盤へと突入。優勝争い、あるいはJ1生き残りをかけ、その戦いは激しさを増している。2025年のJ1は、どのようなクライマックスを迎えるのか。「ラスト3節」を前に、サッカージャーナリスト大住良之が「今後」を検証する!

■エース「浦和レッズ移籍」で不安も…

 昨季は「堅守」とMFマテウス・サヴィオを軸とした「速攻」で戦い、17位でかろうじてJ1に残留という状況の柏レイソルだったが、今季はリカルド・ロドリゲス監督を迎えてパスサッカーに切り替え、まったく別のチームとなった。マテウス・サヴィオの浦和レッズへの移籍でシーズン前には不安をささやかれていたが、開幕直後から「リカルドイズム」が発揮され、シーズンを通じて上位を保ってきた。今季5位より下に下がったことがないのは柏レイソル、ただ1チームである。

 京都橘高校から2014年に名古屋でプロになり、京都サンガF.C.サガン鳥栖を経て2022年に柏に移籍したMF小屋松知哉(30歳)が左サイドから突破してチャンスをつくるだけでなく、献身的に攻守をこなしてチームをけん引している。昨季までは目立つ選手とは言えなかった小屋松だが、今季の働きは間違いなくリーグのベストイレブン候補だ。

 前線で体を張り、「ハイプレス」の先導役となったFW垣田裕暉(6ゴール)、そして交代出場が多かったものの短い時間で好プレーを見せたFW細谷真大(8ゴール)の「ダブルエース」を持っていることは、柏の大きな強みだ。

■日本代表に選出「左サイド」のアタッカー

 中盤では、クラブ育ちのMF山田雄士と法政大学から加入1年目の中川敦瑛がボランチで見事なコンビを組んだ。この2人を軸に、経験豊富なMF原川力と、頭脳的なポジショナルプレーでチームを機能させるFM戸嶋祥郎を組み合わせ、ロドリゲス監督は試合状況に応じてプレーを次々と変化させた。

 前線では、昨年は浦和でくすぶっていたMF小泉佳穂が「恩師」ロドリゲス監督の下で完全復活を遂げ、欠くことのできない存在となった。35試合フル出場の古賀太陽とGK小島亨介に次ぐ2643分間ピッチに立っているという事実に、小泉に対するロドリゲス監督の期待が表れている。

 MF久保藤次郎も、今季大きく飛躍した選手だ。今季名古屋から移籍(昨年後半は期限付きでサガン鳥栖でプレー)し、右サイドのアタッカーとして攻撃をけん引した。7月、韓国でのE-1選手権の日本代表にも選出された。その久保が9月に負傷すると、ロドリゲス監督はJFAアカデミー育ちで東洋大学4年(来年柏に加入内定)のMF山之内佑成を右のウィングバックに起用、10月の「3連勝」の大きな力となった。

■忘れてならない「全試合フル出場」2選手

 そして忘れてならないのは、今季新潟から移ってきたGK小島だ。古賀とともに全試合にフル出場。万全の守備を見せるとともにビルドアップに参加してロドリゲス監督のチームづくりに大きく貢献した。

 柏はこれまでの35試合で他を圧倒する2万1389本(1試合平均611本)のパス本数を記録。2位セレッソ大阪の1万8602本(1試合平均532本)、20クラブ平均の1万5572本(1試合平均445本)と比較すると、柏がどんな試合をしているか、明白なのではないか。

 近年はパスを多用する「ポゼッションスタイル」は「時代遅れ」と言われ、Jリーグでもボールを保持するより、奪ったところから数少ないパスで攻め切るという考えのサッカーを進めるチームが増えている。

 現時点で「数字の上では優勝圏内」の5チームのパス本数を見ると、広島の1万6089本(1試合平均460本)と鹿島(1万5606本、平均446本)の2チームはほぼ全チームの平均に近く、神戸は「1万4740本、平均421本」と少ない。京都にいたっては、35試合で1万2869本(平均368本)。全20クラブのなかで3番目の少なさとなっている。

 京都のチョウ・キジェ監督が言うように、「パスをつなぐのが良いサッカー」という考えは間違っている。しかし時代の潮流に逆らい、細かくパスをつなぎながら相手守備の穴をうかがい、そこから京都(59得点)、鹿島(53得点)と十分対抗できる55得点を記録しているのは、特筆すべきだろう。

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