◇国内男子◇フォーティネット プレーヤーズカップ 最終日(2日)◇成田ヒルズCC(千葉)◇7137yd(パー71)◇曇…

佐藤大平は悲願達成の瞬間に笑った

◇国内男子◇フォーティネット プレーヤーズカップ 最終日(2日)◇成田ヒルズCC(千葉)◇7137yd(パー71)◇曇り(観衆1747人)

「優勝するってどんな景色だろう」――。そう思い続けてプロ10年目、佐藤大平は夢をかなえた。「想像していたものと、1個だけ違うものがありました。絶対泣くよなって思っていたけど、涙が出なかった」。いまにも泣きそうなキャディ、会場に駆け付けた家族の笑顔、ギャラリーの祝福…。恋焦がれてきた最高の景色は、涙でにじむことなく目に焼き付いた。

転戦中、3人の子どもの世話を任せきりな妻に「勝つから来て」とメッセージを送ったのは3打差4位で大会を折り返した金曜の夜だった。「練習ラウンドの時からキャディとも『状態がいいね』って話していて。あんまり不安がなくて、今週はずっと早くゴルフがしたいって思っていたんです」。初めて首位で迎える最終日の前夜、緊張なのか午前2時くらいに目が覚めても自信は揺らがなかった。

待ち焦がれた勝者の儀式

出だし2連続バーディでさらに心が軽くなった後、3番でボギー。続く池越えの難関4番(パー3)は、狭い右サイドにピンが切られていた。先に同組の小斉平優和金子駆大も広い左サイドへ打っていく中、7番アイアンで果敢にピンを攻めた。左に行けばリスクは少ないが、きつい段を下るシビアなパッティングになる。「この優勝争いで、繊細な(下りの)タッチで打てる自信はなかった。(ティショットを)右の下の段に打てる自信はあったので、思い切って行こうと」。右5mに絡めるバーディで小さくこぶしを握った。

14番は左の林に突っ込んでレイアップを強いられながら、残り119ydの3打目を50度のウェッジでピンそば1mにピタリとつけるスーパーセーブ。17番(パー3)のバーディで後続に3打差をつけ、みたび作ったガッツポーズはひときわ力強かった。一度も影を踏ませることなく逃げ切ってみせた。

東北福祉大の“縁”が歓喜を導いた

東北福祉大の同級生であり、現在は松山英樹のキャディを務める早藤将太に誘われて中国で展開されるPGAツアー・チャイナに挑んだのは卒業2年目のこと。半数近くを占める欧米人が現地の食事に苦しみながら必死に戦う姿を見て、いかに恵まれた環境でゴルフに打ち込んできたかを思い知った。「がむしゃらにやらなきゃいけない。あの経験がなかったら、いまの自分はない」

2019年は「重慶選手権」で同ツアーの日本人初優勝を飾ったが、母国ではタイトルが遠かった。コロナ禍を挟んだ20年「フジサンケイクラシック」では、首位に立っていた最終日の17番(パー5)で1.5mのバーディチャンスから痛恨の3パットボギーを喫し、敗れた。どうしても苦手な上りのスライスラインだった。大学の先輩で兄貴分的存在と慕う松山に言われた。「あの3パットを思って練習するのだけはやめろよ」。悪夢のようなシーンを振り払おうとすればするほど、かえって悩みが深くなってしまうかもしれないからというアドバイスは決して忘れない。

いつも練習ラウンドを一緒に回る後輩の比嘉一貴には、逆転を狙って出たこれまでの優勝争いで“保険”をかけたショットを打つたび、「追いかける側で“それ”だと絶対に勝てないですよ」とダメ出しを食らってきた。先輩、同級生、後輩…。愚直に背中を追い続けた先で悲願を遂げた。(千葉県栄町/亀山泰宏)