先場所限りで現役引退した大相撲の元関脇・宝富士の桐山親方(38)=本名・杉山大輔さん=が10月31日、故郷の青森県中泊…

 先場所限りで現役引退した大相撲の元関脇・宝富士の桐山親方(38)=本名・杉山大輔さん=が10月31日、故郷の青森県中泊町の役場を訪れ、地元の後援会長でもある浜舘豊光町長に引退を報告した。土俵上では見せなかった穏やかな笑みを浮かべ、現役生活を振り返った。

 桐山親方は2009年初場所で初土俵を踏み、得意とする左四つからの寄りで白星を積み重ねた。初土俵からわずか2年半で新入幕を果たすと、その後も番付を上げ、15年の名古屋場所で小結、翌年の秋場所で関脇へと昇進した。

 腕や足など体中にけがを抱えながらも初土俵から一度も休場することなく土俵を守り抜き、幕内在位は78場所。通算の連続出場記録を歴代6位の1398回まで伸ばし、140年を超える県出身力士の幕内在籍記録をつないできた功労者でもある。

 10月1日に日本相撲協会に引退を届け出て、16年半に及んだ現役生活に別れを告げた。

 スーツ姿で役場を訪れた桐山親方は、多くの町職員に大きな拍手で迎えられ、ねぎらいの花束が贈られた。町長室で浜舘町長から現役生活で印象に残っている取組を尋ねられると、14年秋場所での大関・稀勢の里関(当時)との一番を挙げた。当時を振り返り、「そこから横綱、大関に勝てる自信がつきました」と語った。

 今後は在籍する伊勢ケ浜部屋で後進の指導にあたる。町長と面会後に報道陣の取材に応じた桐山親方は「青森の力士を育てたい」と抱負を語った。土俵生活で一度も休場しなかったことについて、「場所ごとに、しっかり準備してきた」とし、後輩たちには「地道に毎日こつこつ稽古することが大事だと伝えたい」と話した。(野田佑介)