2025?26シーズン、2年目のSVリーグが幕を開けた。「今日は昨日よりもずっとよかったです。皆さんは結果で評価します…

 2025?26シーズン、2年目のSVリーグが幕を開けた。

「今日は昨日よりもずっとよかったです。皆さんは結果で評価しますが、開幕したばかりで、多くのチームはアップダウンがあるでしょう。選手たちがお互いどうプレーするのか、今は組み立ての時期です」

 ウルフドッグス名古屋のヴァレリオ・バルドヴィンHC(ヘッドコーチ)は、そう言って一喜一憂する周りを制した。開幕戦は本拠地で広島サンダーズに負けたが、この日の第2戦はストレートでの勝利だった。

 前哨戦というわけではないが、まだ手探りの段階だろう。開幕して2試合。レギュラーシーズンは44試合の長丁場である。その後にはタイトルをかけたチャンピオンシップが待っている。今は結果以上にスタイルの確立やチーム力アップにフォーカスすべきだ。

 もっとも、結果だけを切り取れば「波乱」と言える幕開けになった。

 昨シーズン王者のサントリーサンバーズ大阪、レギュラーシーズン1位の大阪ブルテオン、同じく3位のウルフドッグスなど優勝候補が、どこも連勝できていない。連勝スタートした唯一のチームが、昨シーズン10チーム中9位のVC長野トライデンツだった。また、最下位だったヴォレアス北海道もチャンピオンシップ準優勝のジェイテクトSTINGS愛知を下している。

 SVリーグは群雄割拠に突入するのか――。



大阪ブルテオン対サントリーサンバーズ大阪の対決は1勝1敗の痛み分けに photo by スポーツ報知/アフロ

 SVリーグのクラブは、外国人獲得競争に乗り出せる資金力があり、必然的に有力な外国人選手が増えた。集客力も高くなっているだけに、外国人選手たちも「治安が良く、組織もしっかりしている」と、日本でのプレーを望んでいるという。

 結果、"バレー界のインバウンド"のような状況が起こっているのだ。

 たとえば、トライデンツはデンマークのアウトサイドヒッター、オスカー・マドセン、カナダのオポジット、マシュー・ニーブスのふたりを新たに補強し、開幕節の連戦で効果を見せた。マドセンは高いブロックで立ちはだかり、ニーブスは43得点で総得点5位。ふたりの補強がヒットし、周りの日本人選手が勇躍する連鎖も生まれつつある。

【日本人選手がどこまで戦えるか】

 総得点ランキングを見れば、外国人パワーは明白である。1位から9位までが全員、外国人選手(10位がトライデンツの工藤有史で、11、12位も外国人選手)。これからさらにフィットしたら、どうなるのか。

 サイドやオポジットだけでなく、ミドルブロッカーも増えた印象だ。

 ヴォレアスはエストニア代表のミドル、ティモ・タンメマーを補強した。欧州のクラブを渡り歩いてきた老練さと身長205cmの高さは強力な武器。開幕連戦では、セット平均1.29本のブロック決定本数を叩き出し、サーブ効果率も20.2%とハイスコアだった。どちらも現在リーグ1位の記録だ。

 ベテランだけでなく、プロ経験のない外国人選手も流入しつつある。

「(クーパー・)ロビンソンはまだ23歳、アメリカの大学を卒業し、昨日の試合がプロ初戦だった。攻撃的選手で、パフォーマンスには満足している。これから経験を積めば、主役のひとりになる可能性を持っている」

 サンダーズのアルゼンチン人HCカルロス・ハビエル・ウェベルは言う。U-21キューバ代表ダニエル・マルティネス・カンポスも、開幕2試合目がデビュー戦だった。身長220cmのオポジットは未知の存在と言っていいだろう。

 ウェベルもそうだが、外国人監督も目立つ。各チームが戦術、戦略で進化し、これも差がなくなりつつある要因でもあるのだろう。昨シーズンも外国人監督のチームが上位を占めた。

 外国人がSVリーグで、大きなうねりを生み出しているのは間違いない。だが......。

 結局は"日本人選手がどこまで戦えるか"になるだろう。なぜなら、単純にチーム内で日本人選手の占める比重が大きいからだ。長丁場の戦いではそこがものを言う。

 そうなると当然、日本代表選手を多く擁するチームは有利になる。

 たとえばブルテオンは日本代表がずらり。西田有志、山本智大、山内晶大、西山大翔、富田将馬、さらに甲斐優斗のような新鋭もいる。甲斐は化けたら、とんでもない選手になる。ブルテオンはフランス代表セッター、アントワーヌ・ブリザールが開幕戦でも変幻自在のプレーを連発し、ここで化学反応が起こる可能性もある。

 ブルテオンの指揮官トーマス・サムエルボも、甲斐を開幕2試合連続で先発起用し、将来性に期待していた。

「甲斐はすごい才能を持った選手で、今は毎日レセプションからベーシックなメカニズムをつくっています。彼については、"若い選手"と言いたくない。どれだけいいか悪いか。今日はよくなかったですが、昨日よりはよくなっています。ディフェンスで少しエネルギー不足で他の選手に代えましたが、今は向上中で見守りたいです」

 王者サントリーも、新チームで調整段階と言える。昨シーズンはやや出遅れたが、むしろピーキングがチャンピオンシップに合っただけに、今シーズンも焦っていない。関田誠大、小川智大など柱となるポジションに新加入選手も多く、成熟はこれからだ。

「結果は悔しかったけど、このメンバーと試合ができて"楽しい"と思いました」

 関田は開幕戦後にそう言って、勝利した2試合目はPOM(ゲームMVP)に選ばれている。

「伸びしろがあるな、って感じています。チーム全体のコネクション、関係性が大事で、僕が誰をどう使うのか、というのが、これからよりわかっていくはずで......。このシーズン、それで自分の課題も出るはずだし、成長できると思っています」

 関田がドミトリー・ムセルスキー、髙橋藍、小野寺太志などを自在に使えれば、無敵モードに突入するか。

 サントリー、ブルテオンが覇権を争うのは間違いない。一方、ウルフドッグスも宮浦健人、水町泰杜という二枚看板をセッターの深津英臣が操ると、日本人コネクションを土台に食い込んでくる。最後は日本人選手がカギを握るはずだ。