◇国内男子◇フォーティネット プレーヤーズカップ 事前(29日)◇成田ヒルズCC(千葉)◇7137yd(パー71)出利…
◇国内男子◇フォーティネット プレーヤーズカップ 事前(29日)◇成田ヒルズCC(千葉)◇7137yd(パー71)
出利葉太一郎は「今週の組み合わせはちょっと“やりすぎ”なんじゃないかって思うくらいなんですけど…」と笑いながら、すぐにポジティブに変換した。「そういう組で毎週回ることが、やっぱり目標になってくるので。いまの自分から上のレベルに行くためには、そこを乗り越えていかないといけない。それをいち早く(経験)できるのは主催者の方々、JGTOにもすごく感謝しています」。期待を意気に感じて力を込める。
基本的にランキングの上位選手や直近大会で好成績の選手を集めて注目組を作る予選ラウンドで賞金ランク2位の蝉川泰果、ツアー通算20勝の石川遼と同組に入った。ツアー未勝利、ランク55位で初シード獲得を目指す24歳が“抜擢”されたのは、その勢いとポテンシャルを認められた証しともいえる。
前週の下部ACNツアー最終戦「ディライトワークスJGTOファイナル」で初優勝を飾ったばかり。その前週には、来季PGAツアーおよび下部コーンフェリーツアーの出場権をかけた予選会(Qスクール)のファーストステージを3位で突破した。
サポートスタッフがそばにいたナショナルチーム時代の海外遠征と違って、今回は単身渡米。「全部が初めてすぎて、何がトラブルなのかって、全部がトラブルな気もします」と、まさに右も左も分からない状態だった。最も困ったことといえば、「帰りの飛行機で『(預入手荷物に)モバイルバッテリーは入ってませんか?』っていう質問(の英語)が分からなさ過ぎて…」だったというから、きっと問題はなかったのだろう…(空港スタッフが丁寧に日本語に訳して説明してくれて事なきを得たとか)。
若者らしい思い切りの良さを感じさせるチャレンジの裏に、ゴルフに対するち密さも見え隠れする。1次予選会の全14会場からニューメキシコ大学GCを選んだのは、下部ツアーで一緒にプレーした伴真太郎や森山友貴といった米国の大学出身選手からの「太一郎に合っている」という助言を踏まえたもの。アマチュアの時に試合で同組になって面識があったジェイ・チョイがニューメキシコをホームタウンにしている縁から、現地のキャディも手配してくれた。
「言葉が分からないので、(周りで)誰が何を言っていても気にならない。誰が強くて、誰が下手かも分からない。ひたすら目の前のことに集中できました」。まだ1次予選会を突破しただけで、2次、最終と続く厳しいサバイバルは百も承知。優勝した下部ツアーのランキングで来季レギュラーの前半戦出場権を確保しても、レギュラーのランキングでフルシードを獲りにいくミッションも残っている。「勝てたからこそ、もっと必死にやっていかないと」と自らに発破をかける。
今季平均飛距離は311.55ydで全体3位。ラウンド数(29)は少ないものの、蝉川が2023年シーズンにマークしたイーグル率のツアー記録「4.087」を上回るスケール(3.625)が魅力だ。「僕はいま、失うものがないので」。注目組でも目の前の一打をアグレッシブにトライすることしか考えていない。(千葉県栄町/亀山泰宏)