今年のドラフト会議では、計117選手がドラフト指名されたが、ドラフト1位をポジション、カテゴリー別で見ていくと、高校生投…

今年のドラフト会議では、計117選手がドラフト指名されたが、ドラフト1位をポジション、カテゴリー別で見ていくと、

高校生投手2人

大学生投手3人

大学生野手5人

社会人投手1人

海外大学生1人

という比率だった。

 大学生投手では、中日の青山学院大・中西 聖輝(智弁和歌山)、日本ハムの明治大・大川 慈英(常総学院)、楽天の花園大・藤原 聡大投手(水口)の3人が1位。共通するのは、秋の成績が非常に良かったことだ。同様の例では23年、国学院大の武内 夏暉投手(八幡南)が最後の秋に5勝2敗、防御率0.95と他の大学生投手をゴボウ抜きする形で大学生NO.1左腕の座を勝ち取り、3球団から1位指名を勝ち取った例がある。

 中西は春先から1位候補に挙がっていた。春のリーグ戦では6勝2敗、70.1回を投げ、87奪三振、防御率1.41と好成績でリーグ優勝に貢献。MVPを獲得した。制球力の高さ、投球術の上手さで勝負する投手だが、同タイプの投手と比べてもストレートの強さが違った。常時140キロ台後半の速球を上手く出し入れしており、鋭い変化を見せる縦横の変化球で三振を奪うコンビネーションも確立しており、1位指名は堅いものとなった。

 秋は肘の炎症で一時、登板は見送ったが、秋の成績は34.1回を投げ、防御率0.26、投球回を上回る41奪三振。春以上に安定感は抜群だった。東都一部にはDeNA2位の島田 舜也投手(木更津総合-東洋大)、広島2位の齊藤 汰直投手(武庫之荘総合-亜細亜大)と中西以上の速球を投げるパワーピッチャーがいるが、この2人は波が大きく、1位と推せる内容ではなかった。中西が1位になるのは自然の流れだったといえる。

藤原、大川の2人は中西と違って、大学日本代表どころか候補合宿にも入っていない。ドラフト上位で指名される大学生に共通するのは大学日本代表候補の合宿に入っていること。この合宿には多くのスカウトが訪れ、アピールできた選手のほとんどが指名につなげている。この2人はそれができずに秋のリーグ戦を迎えたのだった。

 藤原は春のリーグ戦での投球は速球が常時150キロを超えていたが、コントロールが荒れて、あまりピッチングは上手いタイプではなかった。

 だが秋はピッチングに変化が生まれた。常時150キロ台のストレートは安定してストライク先行ができ、スライダー、カットボール、ツーシーム、スプリット、カーブと多彩な変化球も投げ分けた。力で押すだけではなく、横の揺さぶり、縦変化、緩急をうまく使い分けることができて、実戦力が大きく向上した。

 春では防御率2.33、38.2回を投げ、19四球だったのに対し、秋は39回を投げ、防御率0.46、奪三振55、与四球14と大きく数字が改善。四球を出さず、三振を多く奪う投球が高評価につながった。14日の佛教大戦では、最速155キロをマークし、3回無失点の快投。この試合を取材した記者からも「1位が決まった雰囲気でした」と語るように、ドラフト直前までアピールした。

 リーグのレベルを考慮しても、藤原は速球派の大学生右腕では一番内容が良かった。直前のアピールで評価を逆転させた好例だ。

 大川は下級生の時から150キロ台の速球を投げ込むリリーバーとして活躍していたが、春のリーグ戦後に左足甲を骨折して手術をしていた。それでもしっかりとしたリハビリで秋のリーグ戦に間に合わせた。

 ドラフト直前まで7試合連続無失点を達成。特に19日の早稲田大戦では2回3奪三振、無失点の快投。さらに与四球が0というコントロールも抜群だ。

 投球フォームを見ると、開きが抑えられ、ゆったりとした動作から一気にリリースに入る動きができるため、球速表示以上に打ちにくい。さらに、回転数やホップ成分が高そうな直球なので、球質の良さも高く評価されたのではないか。

 とはいえ、明治大サイドも大川の1位指名にはかなり驚いたという。リリーフ専門ではあるが、実戦的な投球フォーム、空振りを奪える球質が優れた常時140キロ台後半の速球、与四球0の制球力と1位指名に値する条件は揃っている。

 この3人は1位に相応しいパフォーマンスを残し続け、ファンから称賛されるような投手になれるか注目だ。