距離の変更が繰り返されてきた競歩は、9月の世界選手権東京大会を終えて、再び新種目が始まった。従来の20キロと35キロに…

 距離の変更が繰り返されてきた競歩は、9月の世界選手権東京大会を終えて、再び新種目が始まった。従来の20キロと35キロに代わり、10月1日からマラソンとハーフマラソンの距離となった。

 国内で初めて実施されたのは、26日に山形県で行われた全日本競歩高畠大会。

 男子フルマラソンで優勝したのは、世界選手権の35キロ競歩で銅メダルをつかんだ勝木隼人(自衛隊)だ。

 2021年までは50キロが専門だった。ただ、50キロは距離が長すぎるなどの理由で東京五輪を最後に廃止された。

 24年パリ五輪では50キロに変わって採用されるはずだった35キロが見送られ、代わりに男女混合リレーが行われた。

 度々の距離変更に選手は戸惑ってきたが、今回は現場から前向きな声が聞こえてきた。

 世界陸連が今回距離を変えた狙いは、市民ランナーになじみのある距離で、競歩に親しみを感じてもらうこと。勝木は、さっそく効果を感じたという。

 高畠大会での記録は2時間55分28秒。「沿道の方が『サブスリーいけるぞ』と言ってくれた。確かに応援しやすいよなと思った」

 日本陸連で競歩担当の谷井孝行ディレクターも「非常に前向き。ハーフマラソンも含め、走ったことがある距離だから分かってもらえる」。

 一方、28年ロサンゼルス五輪で採用される競歩の種目はハーフマラソンのみ。フルマラソンは来年のアジア大会や世界選手権だけで採用される見込みだ。

 谷井ディレクターは五輪に向けた強化方針について、「スピードがある選手も、フルマラソンで持久的な要素を養える。フルも無視はせず強化につなげていきたい」。

 両種目は、2026年12月31日時点の最高記録が、最初の日本記録として公認されるという。(加藤秀彬)