一塁上で言葉を交わす大谷とゲレーロJr.(C)Getty Images 耳をつんざくブーイングと野次。そのボリュームの大…

一塁上で言葉を交わす大谷とゲレーロJr.(C)Getty Images

 耳をつんざくブーイングと野次。そのボリュームの大きさに、矛先を向けられた天才も思わず白い歯を浮かべた。

 現地時間10月24日、ドジャースは敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ(WS)第1戦に4-11で大敗。7回にWS初本塁打となる2ランを放った大谷翔平には、打席に立つたびに敵地のファンから容赦のないブーイングが浴びせられた。

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 無論、トロントのファンが敵意をむき出しにしたのは、大谷の名が知られた証左ではある。だが、9回の第5打席には、スタンド全体が「We don’t need you!(俺たちにお前はいらない)」と大合唱したのは驚きでもあった。

 熱心なファンが「We don’t need you!」と辛辣な言葉を浴びせたのは、2023年12月に起きたFAでの大争奪戦が発端だった。当時、ドジャース入りが決定的と見られていた大谷を巡ってはSNSでありとあらゆる情報が錯そう。その中で「オオタニがトロント行きの飛行機に乗っている」という“誤報”が飛び、ブルージェイズファンは狂喜乱舞。しかし、翌日にドジャース移籍が正式に発表されると、拍子抜けしたファンは落胆した。

 この時の因縁によって生じた鬱憤をどうにかして晴らしたかったのだろう。4万4353人が埋めたスタンドから「We don’t need you!(俺たちにお前はいらない)」という皮肉めいた野次が本人に浴びせられたのだ。

 興味深かったのは、当人の反応だった。第5打席に四球を選んで一塁上へ歩くと、相手一塁手のブラディミール・ゲレーロJr.と何やら会話。その模様は試合中継をしていた米スポーツ専門局『FOX Sports』のカメラにも収められており、大谷が「They don’t want me(俺のこといらないらしいよ)」とイタズラっぽく笑う姿が見られた。

 ブルージェイズナインも大谷への野次は耳にしていた。MLB公式サイトのインタビューに応じたジョージ・スプリンガーは「まぁなんていうか……、ショウヘイ・オオタニだからね(笑)」と吐露。ブーイングと野次が必然であるという見解を示している。

「彼は史上最高の野球選手の一人だし、きっとここから15年はプレーできる。信じられないほどの才能の持ち主だよ。でも、これが僕らのチームなんだよね」

 ゲレーロJr.も爆笑した大谷の反応は、緊張感のある勝負を楽しんでいるようにも見えた。ポストシーズン進出を逃し続けたエンゼルス時代に「もっともっと楽しい、ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と求めていた彼にとって、ディフェンディングチャンピオンとして臨み、敵意を向けられる状況は刺激的で、やりがいを感じているのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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