来年3月、イタリアで開かれるミラノ・コルティナ・パラリンピックまであと4カ月あまり。 クロスカントリースキー、バイアス…
来年3月、イタリアで開かれるミラノ・コルティナ・パラリンピックまであと4カ月あまり。
クロスカントリースキー、バイアスロンの男子で、座って滑る「座位」の選手たちが急成長している。
有望選手3人のうち、森宏明(29、朝日新聞社)が代表内定となり、源貴晴(45、アムジェン)、柴田真聖(28、土屋ホーム)も出場に手が届くところにいる。パラリンピックでは、立って滑る「立位」の選手の活躍が目立ち、「座位」はその陰にかくれた存在だった。選手たちは「3人で競いあって実力をつけ、夢をかなえたい」と意欲を見せる。
パラリンピックのクロスカントリーとバイアスロン競技には、立位、座位、視覚障害の三つのクラスがある。滑る距離も約1キロのスプリント、10キロ、20キロとさまざまだ。クロスカントリーとバイアスロン競技の選手が所属するパラノルディックスキー日本チームは、長野大会以降、7大会連続メダルを獲得してきたが、ほとんどが「立位」の選手で、座位でメダルを獲得したのは、1998年長野大会バイアスロン男子7.5キロで銀メダルの野沢英二、2014年ソチ大会バイアスロン男子7.5キロで銅メダルの久保恒造の2人だけだ。2本のスキーに椅子をつけた「シットスキー」に座り、2本のポールで雪面を押して進むため、腕の力が頼りで、体格に勝る欧米勢に圧倒されてきた。
■始まった「座位」チームの強化
「座位」の本格的な強化は、北京大会以降始まった。選手発掘事業で適性のある選手が集まり、座位選手だけの合宿もできるようになった。外国勢に対抗するため筋力、心肺能力のアップにも取り組んだ。スキーをこぐ強度を測ることができる「スキーエルゴ」という装置で測った森の数値は、競技を始めた頃と比べると2倍以上になった。当初50キロ程度だったベンチプレスも今では100キロを超えた。成績も上昇し、24~25年シーズンのワールドカップ(W杯)では、最終戦で森が1キロスプリントで5位に入るなど、メダルにあとわずかの位置まで成績が上がった。
■奮い立ったコーチの言葉
昨シーズンのW杯初戦、2024年12月のフィンランド戦では、選手の心を奮い立たせる出来事があった。それは、座位コーチの小林卓司(67)がかけた言葉だった。「おまえたちは3本の矢だ。一人一人はまだ弱いけれど、3人力を合わせれば強い相手にも勝てる。座位の底力をみせようじゃないか」
「3人の心に火がついた瞬間だった」と森は振り返る。