来る12月のサウジ決戦でピカソを迎え撃つ井上(C)Getty Images 着実にステップアップを図ってきたメキシカンフ…

来る12月のサウジ決戦でピカソを迎え撃つ井上(C)Getty Images
着実にステップアップを図ってきたメキシカンファイターにとってキャリアを懸けた大一番だ。来る12月27日、ボクシングのWBC世界スーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ(メキシコ)は、サウジアラビアで、同級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)とのタイトル戦に挑む。
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25年を締めくくる文字通りのビッグマッチだ。しかし、33戦32勝1分けと、今田無敗の挑戦者ピカソに対する周囲の下馬評は決して高くはない。むしろ圧倒的な「差」があるという声は尽きない。
メキシコ国内でも「井上有利」と言う意見は相次いで上がっている。WBC世界ライト級王者のホセ・ルイス・カスティージョ氏(メキシコ)は、同国のスポーツサイト『Izquierdazo』で「ピカソは、テレンス・クロフォード(世界5階級制覇王者)と並んで、世界で最も手強いとされるチャンピオン(井上)と対戦する。彼の行為は自殺行為に近い」と指摘。「私の見立てが間違っていることを願いたい」としつつも、両雄の実力差に警戒を示した。
「ボクシングにはレベルってものがある。イノウエのレベルの高さを考えると、彼が勝つと思う。簡単にね。サプライズの可能性すらないと思う。なんというか、(勝つのは)ほぼ不可能だ。予想が外れてほしいと願っているけど、正直なところ、そういう展開になるとは思えない」
何度もアップセットは「否定」された。無理もない。なにせピカソの相手は世界が「史上最強」とも評する敵知らずの“モンスター”。プロキャリア無敗の実績を誇る名手と言えど、敗北を予想せざるを得ないだけの地力の差がある。
だが、やる以上は一縷の望みでも模索するのがファイターだ。実際、ピカソ本人は過去に井上有利を予測する声に「ボクシングは挑戦の連続でしょ?」と異論を唱えている。
ラスベガスでの対戦が有力視されていた今年2月に、元世界4階級制覇王者であるエリック・モラレス氏(メキシコ)のYouTubeチャンネル『Un Round Mas』に出演したピカソは、「イノウエに頭を吹き飛ばされるのは恐くないのか?」と問われ、「恐怖か。そうだね、でも、毎日いろんな人が、早くて朝3時ぐらいから仕事に向かう。彼らだって自分が無事に帰れるかはわからない。僕だって彼らと同じだよ」と淡々と語った。
果たして、「自殺行為」とも表現されるほどの力量差のある試合にピカソはいかに挑むのか。井上の牙城を崩すとなれば、世界が沸き立つのは必至だが……。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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