今年のドラフト会議では、育成を含めて116名が指名された。ドラフトの成果は3年後、5年後と中長期的に見る必要があるが、あ…
今年のドラフト会議では、育成を含めて116名が指名された。ドラフトの成果は3年後、5年後と中長期的に見る必要があるが、あえてドラフト直後の採点を行ってみよう。今回はセ・リーグ編だ。
【ヤクルト】 75点
1位 松下 歩叶(法政大)
2位 松川 玲央(城西大)
3位 山崎 太陽(創価大)
4位 増居 翔太(トヨタ自動車)
5位 鈴木 蓮吾(東海大甲府)
6位 石井 巧(NTT東日本)
7位 飯田 琉斗(ENEOS)
育成1位 小宮 悠瞳(川崎総合科学)
村上の抜けた穴として大学日本代表の主将を務め、大学生屈指のスラッガーとして注目を浴びた法政大・松下を指名。昨年ドラフト1位の中村 優斗(諫早農―愛知工業大)に続き、競合の可能性があった選手を一本釣りに成功した戦略はお見事だった。しかし、チーム再建のためにも世代NO.1スラッガーの呼び声高い創価大・立石を指名してもよかったのではないか。
2位では最終学年こそ怪我に泣いたが、大学生屈指の脚力を持つ城西大・松川、また6位で堅実な守備に定評があるNTT東日本の石井と二遊間の選手を補強。即戦力投手も残っている中だったが、故障者が多く2軍でも駒の少ないポジションであり、かつ外野へのコンバートなども考慮しての獲得と見る。
投手は4位でトヨタ自動車の増居、7位で指名したENEOSの飯田と左右で社会人投手を指名した。増居は最速149キロの真っすぐに変化球も多彩で先発ローテとして計算したい。飯田は187センチ、100キロの恵まれた体格から力強い真っすぐを投げ込む中継ぎ右腕として期待される。増居が25歳、飯田も26歳とオールドルーキーで1年目から活躍できるかがカギを握るだろう。
【広島】 85点
外れ1位 平川 蓮(仙台大)
2位 齊藤 汰直(亜細亜大)
3位 勝田 成(近畿大)
4位 工藤 泰己(北海学園大)
5位 赤木 晴哉(佛教大)
6位 西川 篤夢(神村学園伊賀)
7位 髙木 快大(中京大)
育成1位 小林 結太(城西大)
育成2位 岸本 大希(徳島インディゴソックス)
事前公表通り指名した創価大の立石とは縁がなく、外れ1位で指名した平川をクジで引き当てた。2位でも大学生屈指の本格派右腕として注目を浴びていた亜細亜大の齊藤を獲得して上位で投打にバランスよく指名。3位では走攻守全てにレベルの高い近畿大の勝田を指名し、欲しかった二遊間を獲得して思い通りの補強となったのではないか。
支配下中盤で北海学園大の工藤、佛教大の赤木と速球派右腕を獲得。昨年ドラフト3位で指名を受けた岡本 駿(城南―甲南大)のように早くから一軍で投げる事を期待しての指名だろう。また6位の西川も遊撃手でありながら、投手としても140キロ台の球を投げ込む身体能力が売り。中盤までに即戦力を獲得しており、スケールの大きい高校生の獲得も頷ける。
会心の指名だったのは7位の中京大の髙木だ。下級生の頃から活躍し、昨年の時点から大学日本代表候補にも選出。しかし手術の影響で秋は登板がなく、評価が難しい選手だった。即戦力としては計算が立ちにくいが、巨人・山崎や阪神・村上のように、怪我が癒えれば将来のエース格として活躍に期待がかかる。高木がハマるかどうかでこのドラフトの評価が変わってくるだろう。
【中日】 90点
1位 中西 聖輝(青山学院大)
2位 櫻井 頼之介(東北福祉大)
3位 篠崎 国忠(徳島インディゴソックス)
4位 能戸 輝夢(明秀日立)
5位 新保 茉良(東北福祉大)
6位 花田 旭(東洋大)
育成1位 牧野 憲伸(オイシックス)
育成2位 石川 大峨(掛川西)
育成3位 三上 愛介(愛媛マンダリンパイレーツ)
1位で青山学院大の中西、2位で東北福祉大の櫻井と実質ドラフト1位級の投手を2枚取れたことは、先発事情に苦しいチームにとって大きなプラスだ。また3位で192センチの長身から最速 157キロを投げ込む篠崎を指名。今は高卒2年目だが、大学生であれば2年後に1位として指名されてもおかしくないような、スケールの大きい投手を獲得したことも高く評価できる。
野手も身体能力に長けている高校生の能戸と大学生の花田と重ね、手薄だった外野手の強化を図った。5位の新保は守備型の遊撃手で、津田 啓史(横浜―三菱重工East)、辻本 倫太郎(北海-仙台大)、土田 龍空(近江)らレギュラーに定着できていない選手の刺激になるだろう。
育成では今季イースタン41試合に登板し、4勝3敗、防御率2.90の実績を誇るオイシックスの牧野を獲得。2軍とはいえNPB相手にも実績があり、早ければ来季中の支配下も狙える即戦力リリーバーだ。次世代の捕手が指名できれば満点だったが、支配下、育成含めて満足感のある指名ができている。
3位・巨人、2位・DeNA、1位・阪神
【巨人】 85点
1位 竹丸 和幸(鷺宮製作所)
2位 田和 廉(早稲田大)
3位 山城 京平(亜細亜大)
4位 皆川 岳飛(中央大)
5位 小濱 佑斗(沖縄電力)
6位 藤井 健翔(浦和学院)
育成1位 冨重 英二郎(神奈川フューチャードリームス)
育成2位 林 燦(立正大)
育成3位 松井 蓮太朗(豊橋中央)
育成4位 河野 優作(愛知学院大)
育成5位 知念 大成(オイシックス)
岡本のメジャー挑戦が決まった中、社会人NO.1左腕の竹丸を一本釣り。事前の公表がはまり、課題だった左腕を確実に補強できたことは大きい。また2位で指名した早稲田大の田和は、大学では守護神を務めていたが、阿部監督が先発での起用を示唆している。3位では今春東都大学リーグの最優秀防御率に輝いた山城と即戦力投手を立て続けに指名し、規定投球回をクリアしたのが山崎 伊織(明石商―東海大)のみだった先発ローテーションの強化に重点を置いている。
4位以降は野手が3人並んだ。特に5位では正遊撃手の泉口と宇都宮 葵星(松山工―愛媛マンダリンパイレーツ)ら若手有望株との間の層が薄いため、沖縄電力の小濱を獲得したのも納得だ。6位の藤井もポスト岡本として期待の出来る存在。育成でも高校正捕手として豊橋中央の松井、昨季イースタンリーグの首位打者でセンターを守れるオイシックスの知念と的確に指名できたのではないか。
補強ポイントをうまく抑えたドラフトだが、岡本の離脱で顕著だった三塁手の穴を埋める選手も支配下で指名したかった。裏を返せばトレードで獲得したリチャード(沖縄尚学)や昨年ドラフトで指名した石塚 裕惺(花咲徳栄) 、荒巻 悠(祐誠ー上武大)らへの期待度が高いということ。転換期を乗り切れるのか試される来シーズンとなりそうだ。
【DeNA】 70点
外れ1位 小田 康一郎(青山学院大)
2位 島田 舜也(東洋大)
3位 宮下 朝陽(東洋大)
4位 片山 皓心(Honda)
5位 成瀬 脩人(NTT西日本)
育成1位 清水 詩太(京都国際)
1位で佐々木を指名したことは大きなサプライズだった。おそらく一本釣りを狙っていたのだろうが、ソフトバンクと抽選になり、結局クジを外したことは想定外だっただろう。チーム事情を考えればファースト、サードのスラッガーが補強ポイントで間違いないが、入団が確定していない選手を取りに行くのはリスクがあった。むしろ青山学院大の小田を1位で獲得できたことで確実な戦力アップに繋がるのではないか。
また、3位で宮下、5位で成瀬と遊撃手2人獲得し、二遊間の底上げを図ろうとする意図が伝わる。一方で今季32歳の桑原 将志(福知山成美)がFA権行使の可能性があり、森 敬斗(桐蔭学園)の外野コンバート前提にしても中堅手のレギュラー候補を一人獲得したかった。
投手は左右で1人ずつ。多くの投手を戦力外にしたが、昨年も上位2人を即戦力投手に割いたことや、坂口 翔颯(報徳学園―国学院大)、深沢 鳳介(専大松戸)ら怪我から復帰する予定の投手への期待とも見て取れる。ジャクソン、ケイ、バウアーが抜ける穴をドラフトで埋めることは考えにくいが、若手左腕の枚数が少なく、育成も含めて指名があってもよかった。
【阪神】 95点
1位 立石 正広(創価大)
2位 谷端 将伍(日本大)
3位 岡城 快生(筑波大)
4位 早瀬 朔(神村学園)
5位 能登 嵩都(オイシックス)
育成1位 神宮 僚介(東農大北海道オホーツク)
育成2位 山崎 照英(兵庫ブレイバーズ)
戦力に大きな穴がない阪神は、上位3位まで大学生野手を指名した。3球団競合の末、1位で創価大の立石の交渉権を得て、2位では日本大の谷端を指名したことでメジャー移籍の噂もある佐藤 輝明(仁川学院―近畿大)の後釜を獲得。仮に佐藤が移籍しなかった場合でも、右の強打者が不足していることや大山 悠輔(つくば秀英―白鴎大)の後継者として未来のクリーンアップ候補を2人取れたことは大きい。
また3位で指名した筑波大の岡城は自慢の快足を活かした守備に定評があり、FA移籍の可能性を残す近本 光司(社―関西学院大―大阪ガス)の後継者として期待がかかる。今年はチームとして投手力が秀でており、ドラフトの市場的にもスラッガーを中心に大学生野手が多かったことも踏まえ、上位指名で的確な戦力補強できたのではないか。
下位では昨年2位で指名した今朝丸 裕喜(報徳学園)と並ぶ将来のローテーション候補として早瀬 朔(神村学園)、また今季イースタンリーグで12勝を挙げた実績のある能登 嵩都(オイシックス)の指名でバランスを取った。若手左腕の枚数が少ないことは気になるが、喫緊の課題ではないため、評価の高い選手から指名したのではないか。