今年6月に開催されたバレーボールネーションズリーグ2025。山崎彰都は2週目となるブルガリアラウンドで国際大会A代表デ…
今年6月に開催されたバレーボールネーションズリーグ2025。山崎彰都は2週目となるブルガリアラウンドで国際大会A代表デビューを飾った。ウクライナ戦ではスタメン出場を果たして10得点を挙げ、世界にその存在感を示した。
ウルフドッグス名古屋に入団して今シーズンで6年目。チームを牽引する立場となった山崎に、10月24日に開幕するSVリーグ2025-26シーズン直前の現況を聞いた。

ジェイテクトSTINGS愛知とのプレシーズンマッチで得点して吠える山崎彰都
photo by WOLFDOGS NAGOYA
「今年から入る選手もすでに合流して、みんな揃って練習しているので、徐々に開幕が近づいているなと実感しています。僕自身、アウトサイドヒッターの役割というのは、攻撃はもちろんですが、守備でチームに貢献することだと常々思っています。今シーズンもサーブレシーブの精度や、ディフェンスのちょっとしたつなぎに力を入れて練習してきました」
試合中、ブロッカーがワンタッチしたボールをフロアに落とさないなど、細やかな連携の練習に時間を割いているという。
名古屋といえば、Vリーグ時代から幾度もファイナルラウンドに進出し、好成績を収めてきた強豪チームである。今年度は日本代表のオポジット宮浦健人を迎え、昨年、届かなかった頂点を目指している(昨季の最終順位は4位)。
「SVリーグになってから外国人選手が増えて、サントリー(サンバーズ大阪)の(ドミトリー・)ムセルスキー選手を始めとする高い相手との勝負が増えます。そこにどう対処していくかを、チーム全体で取り組んでいるところです」
【「詰めの甘さを克服していかなければならない」】
昨シーズン、名古屋は開幕から連勝でスタートしたものの、その後、ジェイテクトSTINGS愛知と大阪ブルテオンに敗れて4連敗。しかしその後、11連勝を記録するなど、底力を発揮してレギュラーラウンド3位でチャンピオンシップに進出した。
「昨シーズン、スタートはいいとは言えなかったのですが、そのなかでも選手それぞれが自分のできることを最大限に発揮して、徐々にチーム状態が良くなっていきました。レギュラーラウンド中盤から後半にかけて、チームができ上がっていったのは収穫だったと思います。ただ、負けてはいけない下位チームに負けてしまい、レギュラーラウンドを2位以上で通過できませんでした。その詰めの甘さは、克服しなければいけない課題だと思っています」
山崎が悔やんでいるのはレギュラーラウンドの3位通過により、チャンピオンシップの試合数を増やしてしまったことだ。
「そもそもSVリーグの試合数が増えていて、選手ひとり一人の負担が大きくなりました。得点の中心だったニミル(・アブデル=アジズ、今季はトルコリーグでプレー)選手もずっと試合に出ていたので、結果的に体力が消耗され、チャンピオンシップに臨むことになった。上位通過して少しでも試合数を減らせれば、選手全員、万全な状態でチャンピオンシップに臨めたかもしれません。それだけが負けた要因ではありませんが、原因のひとつではあったと思っています」
クォーターファイナルの試合中に故障した選手がいたことを考え、ひとつでも上の順位でレギュラーラウンドを終えることの大切さを痛感したと振り返る。
全員の力で勝ち取ったチャンピオンシップ進出だったが、ミドルブロッカーが故障で離脱した際には山崎自身もミドルブロッカーとして試合に出場した。中学、高校とミドルブロッカーを経験していた山崎だったが、久しぶりのポジションで戸惑いがあったと語る。
「開幕前にミドルの(昨季をもって現役を退いた)近(裕崇)さんが怪我をして、僕がアジア選手権から帰ってきたタイミングで一度、コーチングスタッフから『もしかしたらミドルをやってもらうかもしれない』、『助けてもらいたい』という話がありました。その上で、リーグが始まったあとに『週末の試合はミドルで』と言われて、試合と試合の合間に練習して臨んだという感じです」
【ブランクを感じさせないプレーでチームを救った】
心構えはしていたものの、練習機会は多くなかったという。
「そう言われてはいましたけど、リーグが開幕してからは(ミドルの)練習らしい練習はしていなかったので......。高校生のとき、ミドルで試合には出ていたんですけど、サーブレシーブも受けて、真ん中から攻撃してという、今のSVリーグのミドルブロッカーとは全く違う。ちゃんとした動きがよくわからずに、同じチームのミドルの人に聞いて、練習して、試合に出たという感じです」
ブランクを感じさせないプレーでチームを救ったが、山崎自身は難しさを感じたと語る。
「ミドルとアウトサイドは、動き方が全然違う。ミドルは考えることがすごく多くて。だから『他の選手の邪魔だけはしないように』と、考えながらコートの中で動いていました。ミドルの皆さんは、アウトサイドの邪魔にならないよう気にしながらプレーしてくれていたんだな、と。昨シーズン、それをあらためて感じましたね」
他の選手の助走経路をふさがないよう心を配る。加えて、打たないケースでも囮(おとり)のために幾度も助走し、ブロックでも左右に大きく動く。「年齢的に学生のときとは身体も違うので、『きついなぁ』と思いながらやっていました」と本人は笑う。
そんな山崎にとって、2025年度の日本代表での活動はどんな経験になったのだろうか──。
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