SVリーグ発足時から選手の移籍が活発になり、昨年までとメンバーの顔ぶれがガラリと変わるチームが多いなか、ウルフドッグス…
SVリーグ発足時から選手の移籍が活発になり、昨年までとメンバーの顔ぶれがガラリと変わるチームが多いなか、ウルフドッグス名古屋も宮浦健人や新外国籍選手などを迎え入れ、強化を図っている。生え抜きの6年目ということもあり、今後、山崎彰都にはチームを牽引する役割も求められそうだ。

新シーズンのユニフォームを着てお茶目な表情を見せる山崎彰都
photo by WOLFDOGS NAGOYA
「宮浦選手のことは大学のときから知っていました。そのときは戦いにくい相手で、こちらがブロックで止めに行こうと思っても、確実に点数に繋げてくるスパイカーでした。その選手が同じチームになるので、今は心強く感じています。代表のときもよく喋っていたので、どういう人なのかもよく知っています」
寡黙な仕事人という印象の宮浦だが、山崎によれば「宮浦選手からもどんどん話しかけてくれる」そうだ。
「代表に選ばれる選手は、さすがにコミュニケーション能力が高いなと思いました。代表期間中、いろいろなチームから集まってくる選手と関係性を作り、プレーするわけですから、そういう経験をたくさんしているせいかコミュニケーションの取り方にも慣れを感じますね。僕は人見知りなので、選抜チームや代表に選ばれたときは、真っ先にメンバーを見て『知ってる人いるかなぁ』と探します(笑)」
2025年度の代表活動では大宅真樹(日本製鉄堺ブレイザーズ)や小川智大(サントリーサンバーズ大阪)など、過去に同じチームやカテゴリー別代表などでプレーした選手が多く、すぐにチームに溶け込めたという。
山崎はネーションズリーグの予選ラウンドに出場したあと、惜しくも決勝ラウンドと世界選手権の登録からは外れた。ただしネーションズリーグでは、ブルガリアラウンドでの活躍はもちろん、ベンチ入りしない日も献身的にチームのために働いていた姿が印象に残る。
「そもそも今年、自分では代表での活動を考えていなくて......。昨年度まではB代表に帯同していて、A代表で活躍している人たちの姿を見ていても、自分がその場所に立つというのも正直、イメージが湧きませんでした。客観的に見ると、自分はまだまだ力不足だと思っていたので」
【初出場したネーションズリーグで「自分に足りないものを実感」】
2025年度はオリンピックの翌年で、新たにロラン・ティリ監督が就任したばかりということもあり、様々な選手が代表候補として呼ばれた。山崎は「自分もその中の一人だ」という感覚だったと振り返る。
「ネーションズリーグに出場したのが初めてだったので、自分に足りないものも実感できました。そのあと世界選手権に選ばれた選手たちのプレーを見ると、国際舞台での経験に差があると感じました」
強豪国を相手にプレーをしたことで、自分の現在地を知ることができたという。
「自分にはブロックをはじき飛ばすようなパワーが、もっと必要だと思いました。国内リーグの日本人相手だったら決まったはずだけど、外国人相手だと決められなかったという攻撃が何本かありました。それを知ることができたのはよかったと思っています」
そして国際舞台で経験を積むことの大切さも感じた。
「ブルガリアラウンドで出場したとき、相手チームにとって僕は『初めまして』の存在でした。だから決まったというのもあったと思います。決まった攻撃の9割は、相手が僕の特徴を知らなかったから。何度も対戦する国内リーグとは違います」
だからこそ、そんな状況でもスパイクを決められる代表選手たちの凄みを痛感した。
「スパイクのコースはもっと選択肢を増やしたいですし、コーナーの奥に打つなどの技も必要。相手のブロックがどこについたらいいのか迷うくらい、幅を広げたいと思います」
日本代表への思いを尋ねると、長い時間、熟考して率直に語った。
「オリンピックのような大きな大会に出て活躍するのは、普通の競技者にしたら最大の目標なのかもしれませんが、僕個人としてはそういう大会に出るよりも、今は自分のバレーボールのレベルを少しでも上げることが大切だと思っています。
もちろんオリンピックに出たり、メダルを獲るというのは、誰にとってもうれしい経験だし、僕もそれが叶うなら......とは思うのですが、今の自分を見たときに、現実的にはまだまだそういうところに手が届くレベルではない。今はそういう目標を掲げられる選手に少しでも近づけるよう、まずは自分のバレーボールのレベルを上げて、国内リーグのレベルを上げることに集中したい。そうやってレベルの高いなかでバレーボールをプレーし続けることが、自分にとってプラスになると思います」
【「相手に得点を与えない強力な守備」がWD名古屋の身上】
山崎が重視するのは、まずは自身の足元をしっかりと固めることだ。
名古屋はフランス出身のティモシー・カール、チュニジア出身のエイメン・ブゲラ、ポーランド出身のノルベルト・フベルという外国籍選手を獲得して今シーズンに臨む。特にカールとブゲラは山崎と同じアウトサイドヒッターで、ポジションを争うライバルとなる。
「代表期間中もそうでしたが、自分の武器は得点を奪えるサーブです。海外のチームと戦って得た経験の中で、サーブだけではなく攻撃面でも色々な収穫があったので、そういうところをアピールしていきたい。またスパイクのコースの幅を広げる練習を積んできたので、開幕戦にスタメンで出られるよう頑張ります。外国人選手も入団してきますが、自分の持ち味はサーブレシーブをオーバーハンドで取れるところ。後衛のアウトサイドヒッターをフリーにして、パイプ攻撃を使えるようにする戦略で貢献したい。そういった姿をファンの皆さんにも見てほしいです」
チームとしては昨年、逃した優勝をぜひとも手にしたいところだ。
「相手に点数を取らせない強力なディフェンスが、今シーズンもうちのチームの特長です。そして難しいボールを無理やり打ちに行かず、何度でも立て直してこちらに有利な状況で攻撃をするところなど、見どころはたくさんあります。今シーズンからチームに来た選手たちも、そこを意識して練習しています。そういうところが僕らのチームの持ち味になると思います」
V.LEAGUE DIVISION1時代の2022-23シーズンにリーグ優勝を果たしている名古屋。SVリーグでの初優勝を遂げるには、山崎のさらなる活躍が欠かせない。
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