上林は今季、17本塁打&27盗塁を記録した(C)産経新聞社 背番号51がいなかったら、今季の中日はどうなっていただろうか…

上林は今季、17本塁打&27盗塁を記録した(C)産経新聞社
背番号51がいなかったら、今季の中日はどうなっていただろうか。そう思わせるほど、上林誠知の存在価値は大きかった。
加入2年目の今季は134試合に出場し、打率.270、17本塁打、OPS.737をマーク。盗塁はキャリアハイを大幅に更新する27個を記録した。強肩を活かした右翼守備でもチームに貢献しており、まさに走攻守で欠かせない戦力になった。
【動画】7季ぶりの規定打席到達も話題、上林の豪快アーチシーン
ソフトバンクで一時は主力を張る時期もあったが、故障渦に見舞われ、2024年シーズンから中日でプレー。移籍初年度は46試合出場でわずか1本塁打と振るわず、真価を問われるのが今季だった。
一つ大きな転機になったのは松中信彦打撃コーチの加入だろうか。井上一樹新監督が呼び寄せたかつてのチームメイトであり、同じ左打ちの大先輩である。松中コーチの猛指導とキャンプでの振り込みが身を結び、開幕から1軍に帯同することになった。
それでも開幕直後はスタメンとベンチスタートが半々。本拠地開幕戦での「スイム」と呼ばれる神スライディングが話題になったぐらいだった。スタメン定着は4月下旬以降のことである。
5月以降は主に「3番・右翼」に入り、チームの得点源に。印象的な本塁打を多く放っており、殊勲本塁打(先制・同点・勝ち越し)は13本を数える。
例えば5月16日の巨人戦(東京ドーム)。6回に赤星優志から同点ソロを放つと、8回には大勢からバックスクリーン左に勝ち越し弾。その後チームは逆転負けを喰らうも、この二発はファンに強烈なインパクトを残した。
1本を除いて右投手からの本塁打だったり、9月以降に急激にバテが訪れたりと、まだまだ改善が見込める点はある。来季は左投手へのアプローチや、シーズン全体を見据えた体調管理が鍵になりそうだ。これはリーグ2位の27盗塁を決めた一方で、9月以降はわずか1個しか盗塁できなかったことにもつながるだろう。
とはいえ、7年ぶりの規定打席到達は称賛に値するし、「15本塁打&25盗塁」をクリアした選手は近年の中日には皆無。歴史的な数字を残したと言える。2018年の松坂大輔以来のカムバック賞も確実と見られる。
故障渦を乗り越え、30歳を迎え、いよいよ野球選手として脂が乗る時期がやってきたか。来季も「中日のエリア51」から目が離せない。
[文:尾張はじめ]
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