パ・リーグ優勝のソフトバンクはクライマックスシリーズで日本ハムとの壮絶な戦いを制し、2年連続の日本シリーズ進出を決めた。…

パ・リーグ優勝のソフトバンクはクライマックスシリーズで日本ハムとの壮絶な戦いを制し、2年連続の日本シリーズ進出を決めた。

 ソフトバンクのすごさは、今季、故障者続出でも85勝を挙げた選手層の厚さだ。二桁勝利投手は4人もいて、試合を見ていても選手たちの力量の高さだけではなく、ここぞという試合で、全力疾走に徹し、勝利をもぎ取る力は明らかに抜けている。この選手層をより厚くするためにはどんなドラフトをすればいいのか。

立石は選手層の厚いソフトバンクでも1年目から一軍レギュラーを意識できる逸材

 ソフトバンクのレギュラーを見ると、柳田 悠岐外野手(広島商-広島経済大)、近藤 健介外野手(横浜-日本ハム)、柳町達外野手(慶応-慶応義塾大)など大学・社会人、移籍組が中心だ。

 生え抜き高卒の大型のスター選手というのがあまりいない。20年ドラフト1位の井上 朋也内野手(花咲徳栄)は入団5年目でなかなか一軍定着できず、今季は21年ドラフト1位の風間 球打投手(明桜)が戦力外となった。その一方で、育成からの這い上がった高卒選手が強く、甲斐拓也捕手、千賀滉大投手と同じ年に入った牧原大成内野手が初の首位打者を獲得した。

 こうした構成を見ると巨大な戦力でもレギュラー争いに加われる大学・社会人・独立の選手、メンタリティが強い高校生を指名することになるのではないか。1年目から驚くような成績を残さなくても基礎技術が高く、2年目以降から本領発揮する選手が望ましい。

 そう考えると、創価大・立石 正広内野手(高川学園)はぜひ獲得したい人材だ。昨年は宗山塁内野手を逃したが、今年は引き当てたい。

 抜群のスイングスピード、打球速度はすでにソフトバンクの一軍野手とひけに取らないレベルにあり、もし獲得できれば、レギュラー争いに割って入るだろう。

 ハズレ1位になった場合、打力のある捕手が少ないソフトバンクにとって明治大・小島 大河捕手(東海大相模)が狙い目だったが、西武1位指名を公表したため、小島を取りたい場合は、1位で西武との競合になる。

 どちらを天秤に取るかだが、今のところ立石になりそう。

 二人とも獲得が叶わなかった場合は、完成度を求めて明治大の好左腕・毛利 海大投手(福岡大大濠)が安全といえる。毛利は制球力が非常に高く、地元・福岡出身の投手。出力がしっかりと高まれば、先発・中継ぎとマルチで活躍した松本晴投手(樟南)のような成績は期待できる。

2位以降はポテンシャルの高い大学・社会人の中心の指名になるか?

2位以降は大学・社会人の投手、もしくは打撃力重視の指名になりそう。ソフトバンクはすぐ1年目から活躍することは求めず、2年目以降はコマンド能力が優れた投手や、パワーピッチで圧倒する投手を選択したほうがいいだろう。今のソフトバンクの投手陣を見ると、右投手ならば、全員が150キロ台中盤。先発タイプでも常時140キロ台後半を投げ込んでくる。左腕タイプでも常時140キロ中盤〜後半に達する投手が良いだろう。

 25歳とドラフト候補としては高齢だが、トヨタ自動車・増居 翔太投手(彦根東)は、社会人野球屈指の実戦力のある左腕だ。常時140キロ中盤の速球、フォーク、スライダーを器用に投げ分け安定感が高い。

 中京大・高木 快大投手(栄徳)は、故障もあって、最終学年は思うようなパフォーマンスができなかったが、ソフトバンクフロントが好む球質が優れた本格派右腕で、ローテーションで活躍する大津亮介投手(九産大九州)のようなタイプに育ちそう。

 パワーピッチャー候補では、Honda鈴鹿の田中 大聖投手(鶴岡東)は常時150キロ台中盤の速球を投げ込んでおり、平均球速ではドラフト候補でもトップクラスだ。

 地元の九州では九州共立大の稲川 竜汰投手(折尾愛真)が秋季リーグ戦で、29回を投げ、防御率0.93と安定感の高い投球をしている。140キロ台後半の速球、スライダーを丁寧に投げ分ける本格派右腕だ。同じく九州共立大の小中 稜太投手(香椎)は、真っ向から振り下ろす投球フォームから140キロ台後半の速球を投げ込み、将来は150キロ連発も期待できる。

 野手だと一塁手ではあるが、青山学院大・小田 康一郎内野手(中京学院大中京)の打撃力はすぐに一軍を意識できるレベルにある。ネクスト中村晃を期待できる選手だ。ENEOS・村上 裕一郎外野手(宇和島東)は荒削りであるが、飛距離は凄まじいものがあり、強肩の大型外野手である。タイミングの取り方などが改善されれば一気に爆発する可能性がある。

 またソフトバンクは三軍が定期的に四国アイランドリーグplusと交流戦を行い、普段から同リーグの選手を視察している。直近では徳島インディゴソックス出身の川口 冬弥投手(東海大菅生)など能力の高い選手を積極的に獲得する傾向にある。

 その四国アイランドリーグ・徳島には前評判の高い158キロ右腕・篠崎 国忠投手(修徳)、153キロ右腕・高橋 快秀投手(多度津)、高知には最速152キロを誇り7勝をマークした秋本璃空投手(常総学院)など楽しみな投手が多い。

 育成ではメディアでも話題になっていない高校生を指名する可能性がある。昨年は育成13人も指名した。今季も最後まで見離せないドラフトになりそうだ。

【ソフトバンクの今季成績】

143試合 87勝52敗4分

支配下人数 65人