ドラフト会議まであとわずか。今年の高校生の中で、ドラフト1位が最も有力といわれるのが、高校生NO.1右腕に挙がる石垣 元…
ドラフト会議まであとわずか。今年の高校生の中で、ドラフト1位が最も有力といわれるのが、高校生NO.1右腕に挙がる石垣 元気(健大高崎)だ。石垣はドラフト1位に指名されるためには「どの大会でも相手を圧倒するピッチングをしなければいけない」と語っている。
実際に石垣は1年、ドラフト1位を確定させるのに相応しいパフォーマンスを見せていた。 選抜、夏の甲子園では最速155キロ、U-18でも参加投手NO.1となる158キロをマーク。どの試合でも平均球速は150キロ中盤を記録しており、プロの中継ぎ、クローザーとほぼ変わりない。その球質もストレートは平均2400回転ほどで、ホップ成分が高い評価されている。そんな石垣はNPB12球団だけではなく、MLBのスカウトからも熱心な視察を受けるほど。
石垣はいかにして高校生No.1投手への道を駆け上がってきたのか。この1年の取り組み、プロの世界へ向けて準備していることを語った。
圧倒的なピッチングを目指してきたドラフトイヤー
今春のセンバツ前、「ドラフト1位と全国優勝」を目標として語った石垣。大会前に脇腹を痛めるアクシデントがありながらも、センバツ準々決勝の花巻東戦で最速155キロを計測した。2回3奪三振、無失点と内容もよく、平均球速も153キロと、巨人の大勢投手などNPBの一軍のセットアッパーとほぼ変わりない球速だった。石垣自身、この試合で好投できる予感があったという。
「キャッチボールの段階からボールがいっていて、ブルペンに入ったら、調子が良かったので、これはひょっとしたら、155キロ行けるかなと思いました。甲子園のマウンドに上がったら、155キロを出すこともできました。この数字に満足することなく、もっと上を目指していきたいと思いました」
この投球をきっかけに、ドラフト1位を選ばれるにはどうすればいいのか、具体的にイメージするようになった。
「『相手を圧倒する投球をする』ことがドラフト1位になる条件かなと思いました」
ただ抑えるだけではなく、内容面でも圧倒する。春季関東大会の東海大菅生戦では大きな進化が見えた。この試合は4回4奪三振無失点の投球。156キロをマークしたことが大きく注目を集めたが、120キロ台のカーブを器用に投げ分ける投球も光った。試合後の取材では「力みのないフォームで投げることができたのと、緩急をうまく使えた」と手応えを感じており、健大高崎の青柳博文監督も実戦力が増したエースの投球を評価していた。
カーブの役割について石垣はこう語る。
「自分のカーブは120キロぐらいですが、相手が真っすぐに狙い球を張っているときに投げます。自分の投球を広げるのに、有効的な球種です」
うまく引き出しを広げた石垣は夏の群馬大会で2試合しか登板はなかったが、5回8奪三振、無失点の快投。特に凄かったのは決勝戦の前橋育英戦だ。8回からリリーフした石垣は4回無安打6奪三振、無失点という投球内容だった。タイブレークの場面の投球はストレートの球威、球速がさらに増し、得意のカットボール、スプリットも冴え渡り、強打者揃う前橋育英打線を完璧に封じた。
「ストレートも良かったのですが、スプリットの精度も高く、自分としてもベストピッチングだったと思います。タイブレークの場面ではバントをさせたくないと思って、ストレートを投げ込んで、バントもさせなかったので、投げていて楽しかった試合でした」
さらに夏の甲子園では、155キロをマーク。春、夏のパフォーマンスが評価され、石垣は高校日本代表に選出される。そしてU-18ワールドカップの投球はMLBのスカウトからも注目を集めるきっかけとなった。
MLBスカウトの評価を高めたU-18ワールドカップの快投
会場となったセルラースタジアム那覇のネット裏にはMLBのスカウトたちが詰めかけていた。石垣はスーパーラウンドのアメリカ戦で8回裏に登板し、157キロを連発。アメリカ打線を封じる。石垣も捕手の横山 悠(山梨学院)も「ベストピッチング」と振り返る試合だった。石垣はストライク先行を心がけながらも、思い通りに投げるために「アバウト」に攻めることを意識している。
「アバウトな感じで投げていったほうが、自分として球威のあるストレートでストライクを取りやすいですね。その上で、ファウルでストライクも取れればと思います」
U-18ワールドカップの期間中にあるMLBスカウトと話す機会があったが、石垣はMLBを目指せるポテンシャルを持った投手だと高評価していた。そして決勝戦のアメリカ戦でも大会最速の158キロをマーク。石垣も「思った以上に世界の打者を抑えることができたので、自信になった大会です」と振り返った。

レベルアップは欠かさない
その後、高崎に戻った石垣は1週間のオフを挟んで、練習を再開。各球団の面談、メディア対応と続く中、自身のレベルアップに努めている。それは取材日のキャッチボールでも現れていた。石垣の現在の球種はストレート、カットボール、スプリット、カーブの4種が基本。加えて新たにツーシーム系を投げたい思いがある。
「ツーシームを習得したいと思っているのは、右打者の内角に食い込むボールがあれば、もっと楽に抑えられるというか、三振を狙わず、打ち取るボールを増やして、投球の幅が広げたいですね」
そして最も自信のあるストレートについては、プロの投手を見ながら、どういう体の使い方がいいのか、研究を重ねている。その中で理想とするのは西武のエース・今井達也投手だ。
「今井さんは力感がない投球フォームで、常時150キロ台中盤の速球を投げ込んでいて、凄いと感じます。自分としては球速にもちろんこだわりはありますけど、それ以上に手元の伸びだったり、相手にどう速く感じてもらえるのかを大事にしています」
石垣が12球団のスカウトと面談する中で必ず確認しているのが、初動負荷トレーニングのマシンの有無について。健大高崎は長く初動負荷トレーニングを取り入れているが、石垣もこのトレーニングがうまくいき、大きく球速を伸ばした。今もルーティンとして取り入れている。現在、ほとんどの球団にマシンが導入されているという。自分にとって適切なトレーニングとは何か。高校生の時点でそれを知っているのは強い。
MLB球団からも注目されている石垣だが、多くのNPB球団が1位候補を挙げている。仮にNPBに進んだ場合、目標も具体的に語った。
「まず1年目はしっかりと体作りです。そして1年目の9月に一軍デビューするのが目標です。まだまだ体ができていないですし、柔軟性を失わないように大きくしていきたい。2年、3年目には160キロに達したいですし、そうした中で、一軍で実績を重ねて、いずれは170キロを目指したいと思います」
行く末が大きく注目される石垣。どのステージに進んでも、健大高崎の青柳監督が「怪我なく、息の長い投手になってほしい」と願うように、太く長い投手人生を歩んでほしい。