スケールアップする郡司の来季が楽しみだ(C)産経新聞社 あと一歩のところでホークスの壁を破れなかった。 日本ハムは10月…

スケールアップする郡司の来季が楽しみだ(C)産経新聞社

 あと一歩のところでホークスの壁を破れなかった。

 日本ハムは10月20日、「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ(S)の最終第6戦に臨み、1-2で敗戦。3連敗(※アドバンテージ含む)からの3連勝で「勝った方が日本シリーズ進出」の天王山まで持ち込んだが、わずかに及ばなかった。

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 ただ、2年続けて鷹の軍門に下るも、1勝もできずに福岡を去った昨季とは違い、連勝で盛り返してチームに力がついたことを証明。新庄剛志監督のもと、多くの「チルドレン」が躍動した。

 その代表格は郡司裕也だろう。今回のファイナルSは郡司の活躍なくして語れない。

 第2戦までは無安打で好機での凡退が続いた。潮目が変わったのは第3戦、最初の打席で先制の犠牲フライを打ったところから。これでファイナルS初打点を挙げると、第3打席には同初安打を記録。続く第4打席に満塁の走者を一掃する適時二塁打を放ち、勝利に貢献。1試合4打点と主軸の働きを見せた。

 第4戦、第5戦と1本ずつ安打を放つ一方、持ち前の選球眼で四球もしっかり記録。得点にも絡んでおり、チームは連勝。最終第6戦も「4番・三塁」でスタメン出場を果たす。

 郡司の真価が発揮されたのが、1点を追う4回。一死二塁で打席が回り、レフト線に同点の適時二塁打。チームが相手先発のリバン・モイネロ攻略に苦しむ中、前の打席でもセンターへ二塁打を放っており、好調ぶりを見せつけた。

 さらには守備でも見せ場を作った。再び勝ち越された直後の5回裏、二死満塁から柳町達の強烈なゴロを身体で止め、三塁に走ってきた二走の周東佑京をタッチ。判定はセーフとなったが、リプレー検証の結果、アウトに覆された。

 正直、捕球後の判断としては一塁か二塁に送球するのがセオリーで、三塁ベースを踏みに行くのは捕球位置的に微妙なところだった。その方向に動いてしまったのは仕方ないので、次善の策として走者の身体にタッチしに行ったのは好判断だったとに思う。

 9回の打席はフォークを見極めて、3ボールナッシングまで持ち込んだ。ここまでは良かったが、その後の杉山一樹のボールがえげつなかった。三振してしまうのも無理もない。結果、チームはあと一歩で日本シリーズ進出を逃した。三塁ベンチで唇を噛み締めながらも拍手を送る郡司の姿が印象的だった。

 今季は春先に不振に陥るも、終わってみれば2年連続で10本塁打&100安打をクリア。規定打席こそわずかに届かなかったが、打率とOPSはそれぞれ昨季より上昇。ユーティリティ性にも磨きかがかり、新庄野球に欠かせない選手の一人になっている。

 新庄監督はファーストS前に自らのInstagramにて「ボスも昭和の郡司君としてやらせてもらってました」と、自らのキャリアを踏まえた「スター育成論」を披露。多くのポジションをやりながらレギュラーをつかみ、固定されていくという過程だ。郡司もその最中にいるのだろう。

 来季の日本ハムは、優勝と日本一が至上命題になる。そこに対して郡司がどう貢献して、スターへ駆け上がっていくのか。まだシーズンが終わってばかりだが、楽しみになってきている。

[文:尾張はじめ]

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