■エースFWを欠く首位・水戸は…【J2リーグ第33節 10月19日 16時03分キックオフ 水戸 0ー1 千葉 ケーズ…
■エースFWを欠く首位・水戸は…
【J2リーグ第33節 10月19日 16時03分キックオフ 水戸 0ー1 千葉 ケーズデンキスタジアム水戸】
ほぼ4か月守り続けてきた首位の座から、水戸ホーリーホックが滑り落ちた。
J2リーグ第33節が10月18、19日に行なわれ、前節まで首位の水戸は19日、3位のジェフユナイテッド千葉をホームに迎えた。2位のV・ファーレン長崎はこの試合の前に戦いを終え、勝点3を上積みしている。水戸にとっては少なからずプレッシャーのかかる一戦である。
水戸はチーム得点王で主将のFW渡邉新太が、9月20日のいわきFC戦で右ひざを負傷して戦線から離脱している。それでも藤枝MYFCを2対0、愛媛FCを3対1で下してきたが、上位対決のこの日は難しい戦いを強いられる。
水戸も千葉もDFラインから前線へボールを供給し、2トップがそのボールを収めるか、セカンドボールの争奪戦を優位に進めることで攻撃のイニシアチブ握ろうとしてきた。渡邉が出場してきた試合では、彼がサイドへ流れてボールを収めることで起点となったり、サイドでMFと連携することで相手の守備組織のバランスを崩したり、といった形で相手ゴールへ迫っていた。
しかしこの日は、2トップになかなかボールが入らず、両サイドハーフの齋藤俊輔と加藤千尋がいい形でボール収めることができない。彼らがボールを収めるなり、内側のレーンに立つことで促される両サイドバックの攻撃参加も、好調時に比べるとやや散発な印象だった。
■水戸は7試合ぶりの黒星
水戸がサイドハーフの突破力とサイドバックの攻撃参加を特徴としているように、千葉も両サイドをストロングとする。同じ4-4-2のシステムで真正面からぶつかり合うから、サイドの攻防で優位に立つのは簡単ではない。
U―20ワールドカップから帰国してチームに合流した齋藤は、何度か鋭いドリブルを見せたもののゴールネットをこじ開けることはできなかった。その一方で、千葉のサイドアタックに対するプレスバックで守備陣を助けた。右サイドハーフの加藤も守備で献身性を発揮した。中央で構えるMF大崎航詩とMF山崎希一は、相手サイドハーフのカットインを予測してスペースを消していった。
前半から決定的なチャンスを作り出せなかったが、千葉にも得点機を与えなかった。後半アディショナルタイムにバーを叩かれたシーンは、この試合の千葉のハイライトシーンになるはずだった。
ところが、ポストに救われた直後の90+6分に、相手の左CKから失点してしまうのである。
0対0のまま終盤を迎えたゲームでは、セットプレーから試合が動くことが多い。水戸の選手たちもそれは理解していたはずだが、ゴールを決めた千葉MF杉山直宏のクオリティが優った。
水戸は7試合ぶりの黒星で、首位から2位に転落した。気になるのは残り5試合の対戦相手である。北海道コンサドーレ札幌、ヴァンフォーレ甲府、RB大宮アルディージャ、長崎、そして大分トリニータとの対戦を残している。
札幌はJ1昇格プレーオフ圏の6位と勝点10差で、「何か」を起こすには勝ち続けるしかない。甲府はJ1昇格にもJ3降格にも絡んでいない立場だが、水戸戦は彼らのホームゲームだ。上位を叩くとの意気込みがエネルギーになる。
RB大宮と長崎との連戦は、説明不要だろう。サバイバルマッチである。
大分との最終節は、水戸のホームゲームである。現時点でJ2残留ギリギリの17位にいる大分が、どのポジションで最終節を迎えるのかによって、試合の意味合いやかかるプレッシャーが変わってくる。
ラスト5試合は、どのチームも一戦必勝だ。相手どうこうではなく、自分たちの準備と試合へ臨むスタンスが問われる。どれだけ自分たちへ矢印を向けられるのかが重要で、実はそれがシーズン最終盤では難しいものなのだ。