◇国内女子◇富士通レディース 最終日(19日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6697yd(パー72)◇曇り(…
◇国内女子◇富士通レディース 最終日(19日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6697yd(パー72)◇曇り(観衆3085人)
2022年「アース・モンダミンカップ」では最終組の3組前から6打差をまくった。今回は3人が並ぶ首位タイから最終日最終組で回った。優勝争いのど真ん中に身を置き、4打差をつける通算12アンダーで鮮やかに勝ち切った2勝目が木村彩子は誇らしい。
「アースの時は風も強くて周りも見ていられないくらい、自分のことで精いっぱい。上がってみたら1位だった。今回は競ってリーダーボードを見ながら“この一打”に集中できた。成長を感じました」。5打差をつけて迎えた最終18番はガッツポーズをしっかり正面から撮ってもらえるよう、事前にカメラマンの位置を確認していたという。「ちょっとダサいかもしれないですけど…」と笑いつつ、歓喜のバンザイが幕切れをきれいに彩った。
2週前の「日本女子オープン」で同学年の堀琴音が国内メジャー初優勝を遂げるなど、同じ1995年度生まれの優勝者がここまで世代別最多4人も出たシーズン。自身も4位に入った日本女子オープンをはじめ、好調なショットでコンスタントに上位へ顔を出しながら、初優勝からどんどん時間が空いていく分だけ「もう勝てる選手じゃないのかな…」とよぎる瞬間はあった。
それでも、香川に腰を据えて南秀樹コーチと取り組んできた地道な積み重ねは、勝負どころで決して裏切らない。2023年「AIG女子オープン(全英女子)」から帰国後に敢行したトップを高くするスイングチェンジ。頑固な木村を「やるしかないんや!」と熱く引っ張る師匠にキャリアを託した。
ラフからグリーンを捉え、ロングパットを2打で切り抜けた9番。やはりラフから左サイドの深いガードバンカーだけは避けて狙い通りに右奥へ外した18番のセカンド…。「前のトップが低いスイングだと、インから入ってきやすくなって、ラフに絡まって左に飛んだり距離が出ないことがあった。トップを高くしたことで、上から入るようになって(打ち込める分だけ)安定しました」と感謝をにじませながら振り返る。
父・東吾さん譲りの車好きで、優勝賞金5400万円の高額大会を制した3年前はBMW「M8」を念願かなって購入した。2000万円を超える大きな買い物だったが、「キャディバッグもそんなに積めないですし、職業的にあんまり向いてないなと思って、半年くらいで売っちゃったんです。外車は売ると下がりますよね。メッチャ赤字でした…」。父とともに転戦をサポートしてくれている母・美保さんに「3勝してからにして!」とたっぷり怒られたことを苦笑いで明かしつつ、品定めは抜かりない。「ランボルギーニの『ウルス』とか欲しいです。フェラーリのSUVもカッコいい。高すぎるんですけど…」。どこまでも広がっていく夢が、来月2日に30歳の誕生日を迎える木村の背中を押す。(千葉市緑区/亀山泰宏)