サッカー日本代表が、歴史的な勝利を挙げた。唯一ワールドカップ全大会に出場し、最多５度の優勝を誇る「王国」ブラジル代表か…
サッカー日本代表が、歴史的な勝利を挙げた。唯一ワールドカップ全大会に出場し、最多５度の優勝を誇る「王国」ブラジル代表から、史上初めて勝利したのだ。なぜ快挙は成し遂げられたのか。また、来年の北中米ワールドカップに向けて、どのような意味を持つのか。ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り尽くした！
■立て続けの失点｢リーダーがいないから｣
――後半の守備に比べて、前半はまったく対処できていなかったのでしょうか。
大住「前半の２失点は本当にボールウォッチャーになっていたというか、裏を取られてやられていた」
後藤「いかにもブラジルらしい形でやられたね」
大住「あんなふうにやられていたら、絶対に勝ち目なんてないよね。しかも、立て続けの失点だったし。後半はその点を修正できていた。前半のようにラインを破られる場面はなかったからね。サイドから入れられたし、ペナルティーエリアの外から打たれそうになったけど、前半のように崩される場面はなかった。だから攻撃も良くなったのかもしれないね。
やはり、前半のことも、ちゃんと話しておかないといけない。あんな試合になったのは、リーダーがいないから、という感じがしたよね。点を取られた後、自信喪失というか、ちょっとボールを取れそうにもないなという感じで、どんどん引いちゃったんだよね。ああいうときに、もっと行こうよと鼓舞するとか、身をもって示せるリーダーが、今回はいないのかな、という感じはあったよね」
後藤「そうなると、やはり遠藤航に頼るしかないか」
■強豪でも｢難しい｣崩壊からの立て直し
大住「後半開始早々、南野拓実が激しくプレスをかけた。このままだと試合が終わってしまうという状況で、身をもって皆に発破をかけることができる選手が必要なんだよ。外からでは、なかなかできないことだと思うから。森保一監督は前半から、もっとプレスに行けと言っていたんだけど、行ったところで取れないし、かわされるし」
後藤「両方とも必要だよね。外からもいろいろな情報を入れて、選手の並びを変えるとか、変化を与えないといけない。もちろんリーダーがいて、中で立て直せるのが理想だよね。でも、それはすごく難しい。ブラジルだって、日本に追い込まれてバタバタしちゃって立て直せず、結局３点も取られちゃった。カタール・ワールドカップでも、セルヒオ・ブスケツがいるスペインも、日本にやられてあたふたしちゃった。一度崩れると、立て直すのは強いチームでも本当に難しいということだよね」
■｢あまり見ない｣日本代表にビックリ
大住「とはいえ、今回１点取られてから前半が終わるまでの日本の出来は、本当にひどかったよね。いつも、良い守備から良い攻撃につなげると言っていて、前から守備にいこうと言い続け、やり続けてきたのに、あんな試合になっちゃうとは…。選手たちは自分たちの心の中をのぞいて、反省すべきだと思うよね」
後藤「すごく厳しい評価だね」
大住「あんな試合をやっちゃダメだよ。確かにそれが今回は死んだふりのようになって効いたんだけど、そのためにやっているはずはないからね」
後藤「自分たちのやりたいサッカーを、どの試合でも９０分間できたとしたら、相当にすごいことだよ。だけど…」
大住「もちろん、相手にボールを持たれて押し込まれる時間はあると思うけど、そのまま前半を終えてしまうなんて、どうしちゃったんだ、という感じはするよね。日本代表ではあまり見ないことだから、ビックリしたし、ガッカリした」
