レスター・シティの岡崎慎司が先発に復帰した。クロード・ピュエル新体制の2戦目となるストーク・シティ戦で、4-2-3…

 レスター・シティの岡崎慎司が先発に復帰した。クロード・ピュエル新体制の2戦目となるストーク・シティ戦で、4-2-3-1のトップ下として出場。ピュエル初陣の前節エバートン戦ではベンチスタートだったが、1週間のトレーニングを経てふたたび先発メンバーに名を連ねた。



トップ下で先発した岡崎慎司は果敢に飛び出してゴールを狙った

 試合では、フランス人指揮官の目指す方向性が垣間見えた。顕著だったのは、サイドバックの位置取りだ。センターバックがボールを持つと、両サイドバックが敵陣までポジションを押し上げてパスコースをつくる。マイボール時は2-4-3-1のようなかたちに変形し、後方部からポゼッションで攻撃を作ろうとした。

 両サイドバックが中盤まで押し上げてパスワークに参加するのは、むしろ現代サッカーにおいて普通のことだ。しかし、クラウディオ・ラニエリ前監督時代からカウンターサッカーを貫いてきたレスターでは、これまでなかった新しい試みである。

 実際、相手にボールを持たせてカウンターでゴールを狙うストークが相手だったこともあり、試合序盤からレスターが6割近いボール支配率を記録。ショートカウンターを得意とするレスターは、本来こうした「主導権を握る」展開を苦手としてきたが、プレースタイルの幅を広げようとする新監督の狙いが見て取れた。

 そのなかで岡崎は、トップ下として確かな存在感を示した。最前線のジェイミー・バーディーの後方を絶え間なく走り回ってパスコースを創出。クロスが入りそうになればゴール前に突進してシュートを打ったり、縦パスを引き出そうとフリースペースに侵入したりと、実に多くの仕事をこなした。

 一方、守備でも相手セントラルMFのジョー・アレンやダレン・フレッチャーの動きをケア。味方選手との距離感もよく、ダイビングヘッドでキーパー強襲のシュートを放つなど、攻守両面で大きな役割を果たした。

 前節のエバートン戦でベンチスタートだった岡崎を、2試合目で先発に復帰させた意図はどこにあったのか――。ピュエル監督が期待したのは、「攻守のバランス」と「周囲を生かすクレバーな動き」だったという。

「『バランスを見ながら』ということを監督はしきりに言っていた。トップ下の選手に監督が求めているのは、バランスを見ながら点も獲れる選手。自分にピッタリだと思う。

 前節で感じたのは、(トップ下に)クオリティの高い選手がいてほしいと監督が考えていること。でも、そこに入れると『宝の持ち腐れ』じゃないけど、相手もそこを狙ってきて、そいつが目立たなくなる。そういう意味では、裏を取ったり、周りの選手のためにスペースを作ったりする、自分みたいな選手を(トップ下に)置く。そして、(本来トップ下で使う選手を)両サイドで使いたいという考えがあると思う。そう思ってくれている部分で、自分にも出番が出てくるのかなと。

 裏に抜ける動きや、バーディーとのコンビも悪くない。そういう意味では自分に合っていると思う。(右サイドMFとして先発した)リヤド(・マフレズ)がサイドから真ん中に入ってくれば、僕がもうちょっと前に出て、裏を狙えるので。味方を使いながら、自分のよさを出せている感触はありました」

 前半は新しいポゼッションスタイルで押し気味に進めたレスターだが、後半に入ると失速した。21分に相手GKとの接触プレーで左大腿(だいたい)部を強打した岡崎も、「前半はごまかしながらできたけど、後半は止まるのもきつかった」という満身創痍の状態。58分に途中交代で退き、同位置にケレチ・イヘアナチョが入ると、前節のエバートン戦と同じように自陣深い位置で守備ブロックを構築するようになった。しかし、守備陣が踏ん張りきれず、73分にコーナーキックからピーター・クラウチのヘディングシュートを被弾。2-2の同点に追いつかれ、勝ち点1を分け合った。

 この結果、ピュエル就任後の成績は1勝1分。就任前は降格圏に沈んでいたことを思えば、決して悪い滑り出しではないだろう。

 ただ、新しい試みにトライしていることから、チームの課題も浮かび上がった。ひとつは、ぎこちなさが目立つボールポゼッション。「ボランチを含めて慣れていない部分がある。サイドバックを含めて、(動きが)まだ停滞してしまう。流れができないというか」と岡崎が反省点を口にするように、スムーズなパスワークと呼ぶにはほど遠い出来だった。もともとカウンター型のチームであることから、この点については、しばらく時間がかかりそうだ。

 もうひとつは、サイドバックが前方に押し上げるため、その背後のスペースをカウンターで突かれてピンチを招いたこと。特にサイドバックの背後にできる広大なスペースをカバーすべき巨漢センターバックのウェズ・モーガンは、スピードと体力で不安を残した。

 しかし岡崎は「悪くなかったと思う」と、チームの変化を前向きに捉える。痛みなき変革がないように、今は新しい取り組みに率先してトライすることに意義があると考えている。

「監督はチームを変化させようとしていて、チームもそれを望んでいる。一定のサッカーだけでなく、いい引き出しをもっと増やしていくということ。今までのカウンターも入れながら、という感じです。

 これまでは練習をゲーム形式でずっとやっていて、練習を(いったん)止めて(その都度、監督が)話したりということがなかった。だから、(今までは)何となくでサッカーをやっていた。だけど、今は監督が『これをやろう』と言ってくれる。チーム全体で『これにトライしなきゃ』という意識になっている」

 ポゼッションサッカーを見せた前半と、相手に押し込まれて陣形を深い位置に設定し、守備重視で進めた後半。後半の内容は、前節エバートン戦と似たような展開だったが、おそらくこのどちらもピュエル監督の狙いとするところなのだろう。試合状況や対戦相手に応じて戦い方を使い分けるのは、昨季まで指揮を執ったサウサンプトンでもピュエル監督が見せていた采配だからだ。

 そのなかで、岡崎はどう輝いていくか。バランス感覚に長(た)ける岡崎を先発メンバーに復帰させたように、ピュエル監督は31歳FWを評価している。そして、ポゼッションスタイルで戦った前半は、岡崎も十分に存在価値を示した。

「僕は後から強い選手(=存在感が大きくなる)だと思う。徐々に、『やっぱりコイツは必要だ』と思わせるようになりたい」と語っていた岡崎。ここからが彼の本領発揮だろう。