<第78回秋季北海道高等学校野球大会:北照3―2駒大苫小牧>◇16日◇準々決勝◇札幌・大和ハウスプレミストドーム2013…
<第78回秋季北海道高等学校野球大会:北照3―2駒大苫小牧>◇16日◇準々決勝◇札幌・大和ハウスプレミストドーム
2013年以来のセンバツ甲子園出場を狙う北照が3−2で駒大苫小牧を下し、13年ぶりの準決勝進出を決めた。背番号1の右腕・島田爽介投手(2年)が、最速139キロのストレートと5種の変化球を自在に操り、9回120球8安打8三振2失点完投。前日の北海に続き、2度の全国優勝を誇る駒大苫小牧を破り、優勝して翌春のセンバツ大会に出場した2012年以来のベスト4に駒を進めた。
4回に1点を先制されても、マウンドの島田に慌てる素振りはなかった。同部屋で女房役の横堀 倖世捕手(2年)と2人で前夜に話し合ったとおり、淡々とミットを目掛けて投げ込み続けた。「フォアボールで自滅するのだけはやめよう。打たれるのはオッケーって2人で決めていました」と島田。走者がいる場面で変化球がワンバウンドした時には、横堀捕手が全身を投げ出すようにしてボールを止め、余計な進塁も得点も許さなかった。「島田には、どの球も思い切り投げて欲しいので、『ショートバウンドは怖がらくていい。全部俺が止めるから』と言ってあります」と横堀。切れ味鋭い変化球と130キロ台の直球で緩急をつけて駒大苫小牧打線を打ち取り続け、味方の反撃を待った。
逆転は6回だった。先頭打者の島田がセンター前に落ちるヒットで出塁。犠打と1番・堀井一護遊撃手(2年)の右前安打で1死一、三塁のチャンスを作ると、野選で同点に追いつく。3番・手代森輝斗中堅手(2年)が四球を選んで満塁とし、続く長谷川世和一塁手(2年)の時に相手投手の暴投で勝ち越し。広いファウルグラウンドをボールが転がっている間に二塁走者も一気に生還し、電光掲示板に〝3〟が灯った。「(二塁から還ってくるプレーは)大会前の練習通りです。新チームになった時には練習試合で負け続けたりして『最低のチーム』と思っていましたが、すごい勢いで成長してくれて…毎日がこんなに楽しいチームは初めて」と、就任10年目の上林弘樹監督は目を真ん丸にしながら言った。
横堀は週1回程度グラウンドに訪れる元ヤクルト捕手でOBの西田 明央アドバイザーにスローイングやキャッチングの技術、メンタルの持ち方をマンツーマンで学んだ。「ボールを捕る時は、全身に力が入ってしまわないように、リラックスした状態で、ため息を吐くようなイメージで構えるように言われました。『お前が(他の選手を)一番見えるポジションなんだから、お前が一番やらないと周りはついてこない』ということも言われて、『やらなきゃ』っていう意識に変わりました」と横堀は言う。引退し、ダンス部や吹奏楽部と一緒にスタンドを盛り上げる3年生も、野球の頂点を知り尽くすOBも、オール北照でグラウンドのナインの成長を支える。
13年ぶりの準決勝では、旭川実と対戦する。北海、駒大苫小牧と強力な打線を相手に2試合計253球を一人で投げ抜いた島田だが、「昨日もお風呂に入った時にもんだり、自分でマッサージしたりして寝たら、朝のバスで『全然大丈夫』って言っていましたから、次も大丈夫だと思いますよ」と横堀。優勝候補2校を2日で倒した勢いをそのままに、2日後の準決勝に挑む。