関西大学ラグビーAリーグは11月4、5日に第5節を終了。天理大、京産大が5戦全勝で走り、摂南大が全敗。残り5チームが揃って2勝3敗と、3~7位が混戦状態となっている。天理大と京産大は大学選手権出場が決定し、11月19日に関西リーグの優勝を…

 関西大学ラグビーAリーグは11月4、5日に第5節を終了。天理大、京産大が5戦全勝で走り、摂南大が全敗。残り5チームが揃って2勝3敗と、3~7位が混戦状態となっている。天理大と京産大は大学選手権出場が決定し、11月19日に関西リーグの優勝をかけて激突する。

 ともに全勝の2チームだが、5日に大阪・鶴見緑地球技場でおこなわれた今節の試合内容は全く異なっていた。
 京産大は宿敵同志社大に73-19と大勝。開始からすべての局面で圧倒した。スクラムトライ、モールからのトライ、ターンオーバーからBKが走り切ってのトライと、さまざまなシチュエーションから11トライを奪った。大西健監督の声も弾む。「うちは試合の日、朝5時半からメンバー外選手が陸上グラウンドを20周走るんです。1周だいたい1分45秒なんですが、今日は20人以上が35分以内のタイムだった。こんなことは初めてで、チームが一つになったと感じました」。これまで白星を重ねてきたが「内容的に満足いく試合はなかった。これで胸を張って天理大に挑戦できます」(大西監督)

 敗れた同志社の状態は深刻だ。前半こそ個人技で魅せたトライもあったが、セットで完敗。攻め込んでも孤立し相手にボールを奪われ、無人の野を走られた。今季、就任した萩井好次監督は「根本的な部分で強くない。相性のいい相手には勝てるが、そうでないチームにはこうなってしまう」。試合後のクールダウン。悔しさや怒りを表に出すことなく、無言でストレッチをする選手たちの姿がチームの内情を物語っていた。

 第2試合は、これまで大勝続きだった天理大が、「イケイケ」近大の激しい攻守に手を焼いた。前半、天理大が先に得点して近大が追う展開。終了間際に逆転して21-15で折り返したが、後半4分に近大FB南部崇史にトライされ、今度は追う立場に。10分過ぎ、相手ゴール前で3度、得意のスクラムのチャンスを得たが、いずれもゴールを割れず。近大に流れがいったと思われた中、24分に相手ゴール前ラインアウトからNO8ファウルア・マキシがゲイン、素早く続いたFL岡山仙治がインゴールに身体をねじこませて26-22と再逆転。最終的なスコアは42-27と開いたが、負けてもおかしくない内容だった。

「(近大を)のせたら怖いことはわかっていたのに、のせてしまった」。試合後、小松節夫監督と王子拓也主将は、全く同じコメントを発した。「序盤、自分たちのミスで相手に流れを渡してしまった」(王子主将)。関西屈指の司令塔・喜連航平主将が率いる近大は、躊躇なく前に出る防御で、天理大のアタックを寸断。今季の新たな突破役・CTBシオサイア・フィフィタも仰向けに倒すなど、完全に封じ込めた。「うちは外国人選手だとか、全く意識することなく止められる」と喜連主将。近大の粘りの防御に、天理大も「らしくない」強引なパスや孤立する場面もしばしば。「負けるんじゃないかと思ってました」と小松監督。それでも、そんな嫌な流れを自ら断ち切れるのが今季の強さだろう。金星を目前で逃したFWリーダーの朴泰有は振り返った。「練習量の違いが勝負どころで出た。でもうちはまだまだ発展途上」。近大の次の相手は同志社大。現時点でのチーム状況は明暗くっきりだが、果たして…。(文:森本優子)