日本の逆襲は前線の守備から始まった。 後半7分だ。堂安律のプレスを皮切りに、鎌田大地が寄せ、バックパスを誘う。上田綺世…

 日本の逆襲は前線の守備から始まった。

 後半7分だ。堂安律のプレスを皮切りに、鎌田大地が寄せ、バックパスを誘う。上田綺世が圧力をかけ、相手のパスミスを南野拓実が奪い、右足で決めた。

 勢いは止まらない。10分後、右クロスに中村敬斗がボレーで合わせて同点に追いつくと、後半26分、CKから上田が勝ち越しのゴールを頭で決めた。

 ワールドカップ(W杯)優勝5度の強豪を相手にどのような戦い方で臨むのか。

 森保一監督は「同じ目線で」と試合前日の会見で5度繰り返した。

 「『殴り合い』にいくのか、引いていくのか」

 堂安はこの試合に向けて、チーム内で活発な議論があったことを明かす。守備的に戦い、ドイツ、スペインを打ち破ったW杯カタール大会から転じて、主体的な戦いをしようと鍛錬を重ねてきた。その成長を示そうと、日本は真っ向から挑むことを選んだ。

 コンパクトに陣形を保ちつつ、自陣に押し込まれても引きすぎない。時に前線からプレスをかけ、ボールを奪って速攻を仕掛ける。

 立ち上がりにつくったリズムは、ブラジルに2失点して一度は途切れた。それでも、後半、攻める姿勢を取り戻した。

 2点差をひっくり返す反発力はこの3年間で培われたチーム力のたまものだろう。王国相手に14試合目で奪った初勝利という結果はもちろん、8カ月後のW杯に向けて自信を深める内容だった。(岩佐友)