中日で活躍したドミンゴ・グスマン氏を父に持ち、今回のドラフトで注目選手の1人に挙がるエミール・セラーノ・プレンサ(幸福の…

中日で活躍したドミンゴ・グスマン氏を父に持ち、今回のドラフトで注目選手の1人に挙がるエミール・セラーノ・プレンサ(幸福の科学学園)。甲子園には届かなかったが、夏の栃木大会での小山西戦で見せた2打席連続本塁打は、大きな話題を呼んだ。

 14歳の時、50時間のフライトで母国・ドミニカ共和国から日本にやってきて、3年間。そして現在は、父もプレーした夢舞台に挑戦しようとしている。そんなエミールがドラフト会議に向けて、どんな心境でいるのか。

戸惑いがあった日本野球

 「父が日本でプレーしていたとき、自分は3歳だったので、あまり見ていなかったです。なので、当時のチームメイトとかもあまりわからないです」

 父が中日で活躍していた当時のことは、エミールの記憶にほとんどないという。ただ日本の野球をプレーして戸惑うことが多かった。

 「最初はサインに関して怒られたと思います。ドミニカにはなかった細かい野球で、サインを間違えて怒られてしまうのは困りました」

 母国・ドミニカとは違った日本野球の細かさ。日本独特のスタイルに困ったが、同時に日本野球の技術の高さにも驚いた。

 「甲子園はレベルが高いと思います。150キロも出ていますし、変化球もめっちゃ凄い。どちらも打てるように頑張りたいです」

 現在の課題は、「真っすぐは大体大丈夫だから、変化球をもっと打てるようにしたい」とのこと。師事する野球指導者・蓬莱昭彦さんの提唱する「ホーライスイング」で、来たボールに対して逆らわずに打ち返す“素直なバッティング”を心がけている。

幸福の科学学園・エミール・セラーノ・プレンサ

何があってもプロ入りしたい!

 そのエミールは9月3日、日本高等学校野球連盟にプロ志望届を提出した。既にプロ球団から調査書も届いている。エミールも次のステージを見据えて、日々高いモチベーションで野球に向き合っている。

 「プロになっても一生懸命練習をして、守備もバッティングも上手くなりたい。プロ野球と同じレベルになって、試合で打てるようになりたい」

 とはいえ、選ばれた者しか夢の扉は開かれない。決して簡単なことではないが、エミールの思いは揺るがない。

 「一番はプロ野球選手になることです。だから育成でもいいので、何でもいいからプロに入りたいです。それでもダメだったら社会人や独立。それも難しければ大学野球でもいいので、日本で頑張りたいです。
 夏の大会までは、チームのために打ちたい。いい選手になりたいと考えていました。けど今はプロ入りを目指しながらも、プロ野球でどんな練習をするか。どんな選手になるか。たくさん練習をして、ホームランバッターやチャンスの場面で打てるような選手になりたいです」

 そんなエミールの成長を見守ってきた指揮官・棚橋誠一郎監督は「最初はセンターフライをポロポロ落としていましたね」と苦笑いしながらも当時のことを懐かしそうに振り返る。すると、こんな話を持ち出した。

 「ドミニカは野球大国ですけど、挫折する選手が多いです。だからユニオールと一緒に、日本とドミニカを繋ぐパイプのような存在になってくれたらと思っています」

 ドミニカ野球と日本野球の将来も背負うことになるエミール。その第一歩となるプロ入りは叶うのか。運命の日に名前が読み上げられることを願いたい。