サッカー日本代表が、10月シリーズを戦っている。10日には南米の古豪パラグアイと引き分け、14日には「王国」ブラジル代表…
サッカー日本代表が、10月シリーズを戦っている。10日には南米の古豪パラグアイと引き分け、14日には「王国」ブラジル代表と対戦する。初戦から見えた課題、さらに、それを活かして、いかにブラジル代表と戦うべきか、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が激論をかわす!【第6回/全8回】
■前線で「基準点」になるポストプレーも
――ブラジル戦で期待のかかる上田綺世ですが、得点量産中とあり、これまでのポストプレーよりもゴールへの期待のほうが膨らんでいるのでしょうか。
後藤「先発で出たら、前線で“基準点”になるポストプレーもしてもらわないといけないよね。ブラジル戦に先発したら、上田のCFとしての仕事はゲームをつくること」
大住「オランダでの点の取り方を見ていると、いろいろなパターンがあるんだよね。右足も左足もヘディングもあって、本当に楽しみだよね。それに一番楽しみなのは、上田だけじゃないよ。鈴木彩艶がいる」
後藤「ブラジル戦なら、見せ場がいっぱいあるだろうね」
大住「だろうね。枠内にたくさんシュートが飛んでくるからね」
後藤「パラグアイ戦では、仕事の量が少なかったし」
大住「そうなんだよね。防ぎようのないシュートを決められてしまったけど」
後藤「パラグアイ戦では他のGKを出すかと思ったけど、やはり彩艶だった。ワールドカップ本大会まで時間はあるけど、GKは彩艶で完璧に決まりなんだろうね」
大住「たくさんシュートを打たれることを期待しているわけじゃないけど、彩艶が活躍しないと、ワールドカップでも上に行くのは難しいでしょう」
後藤「期待しなくても、ブラジルはたくさんシュートを打ってくれると思いますよ」
大住「その上で彩艶が活躍しないと、日本に勝ち目はないよね」
後藤「アトランタ・オリンピックでブラジル代表に勝ったときの川口能活のようにね」
大住「神がかり的なセーブ連発だね」
■ブラジルが一番、楽なのは「カウンター」
――ブラジルに、かなり押されると想定されますか。
後藤「押されるかどうかは分からないよ。これまでのブラジルとの対戦でも、日本はそんなに押されていないんだよ。日本がボールを持つ時間を長くしても、ブラジルとしては勝手にどうぞ、という感じで。そうしているうちに、カウンターで簡単に点を取っちゃうというパターンだね」
大住「ブラジルとしては、カウンターが一番、楽なんだろうね。1人や2人で得点まで持っていける選手がいるから」
後藤「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いていた2017年にフランスで対戦して、前半30分過ぎまでに3点取られて、そこで実質的に試合が終わってしまったこともあった。あの試合でも、カウンターで簡単に点を取られていたからね。あの頃のように、日本を軽くみてくれているといいんだけどね。でも、今のブラジルを率いるのはカルロ・アンチェロッティ監督だし、ちゃんと日本対策をしているんだろうなあ」
■昔インタビューしたときの「名将」の印象
大住「韓国に5-0で勝ったから、気持ちが緩んでいないかなあ(笑)。でも、アンチェロッティは真面目な人だから、無理か」
後藤「監督として、面白味はないよね。昔インタビューをしたときに、今回のパラグアイの監督じゃないけど、細かい話を延々としていたなあ。監督になってすぐの頃。30分だけねとか言っていたのに、結局1時間以上しゃべってくれた」
――韓国戦では、レアル・マドリード所属のエース、ヴィニシウスもしっかり守備をしていました。
大住「そうなんだよね。ワールドカップで勝つには、前線にスター選手を並べておくだけでいいわけじゃないからねえ」
後藤「ブラジルも、ワールドカップで勝つには必死になるからね」
大住「だからアンチェロッティを呼んだんだろうしね。ブラジル人の監督は優しいから、選手にお任せ、になっちゃうんだよね」
後藤「でも、2002年にブラジル代表を率いて日韓ワールドカップを制したルイス・フェリペ・スコラーリは細かかったよ。ポルトガル代表監督だった頃、2002年ワールドカップのことを話していたんだけど、全部の試合について、このときは相手がこうだからやり方をこう変えたとか、こまごまとしゃべっていた」