<令和7年度 秋季東京都高等学校野球大会:府中工科5―3実践学園>◇12日◇1回戦◇都営駒沢球場 この夏の東東京大会では…
<令和7年度 秋季東京都高等学校野球大会:府中工科5―3実践学園>◇12日◇1回戦◇都営駒沢球場
この夏の東東京大会では初戦で正則学園に競り勝つと、豊南、麻布、九段中等、堀越を破る快進撃でベスト4まで進んだ実践学園。優勝した関東第一には敗れたが、中盤までは0対0で食い下がった。この秋もブロック予選では、力のある日大豊山を下しての進出である。
対する府中工科は、夏は東大和との都立校対決を制したが、3回戦では駒大に屈した。会場校でもある秋季ブロック予選では、感染症や故障などで主力選手を何人か欠きながらも、西と3校連合(青梅総合・多摩・羽村)を下しての進出である。
実は、この対戦は春季大会2回戦でも当たっており、この時は中盤まで府中工科がリードしていながら終盤に失点して逆転負けしている。その悔しさを実際にグラウンドで経験した選手たちも何人か残っている。この新チームから、再赴任で再び指揮を執ることになった弘松 恒夫監督としても、何とかリベンジをしたいという思いも強かったようだ。だから、「リードしていても、何が起こるかわからないので、最後まで気を抜けないという思いだった」というのは正直なところであろう。
府中工科は、この新チームからユニフォームをかつてのグレー地のモノから、臙脂に近い欅色をベースとしたデザインに変更した。元々この色がスクールカラーということでもあり、かつて府中工時代に指揮を執り、総合工科に異動後、昨年再赴任して、来春には異動の可能性が高いという髙橋 伸吾前監督を引き継ぐ形で再就任した。その折に、心機一転という意味合いも含めて、思い切ってユニフォームをデザインチェンジして、この秋季大会のブロック予選から挑んだ。
ブロック予選時には感染症や故障で欠場を余儀なくされた主力選手などもいて苦しい戦いになったのだが、会場校としても負けられないという意地もあった。何とか持ちこたえて本大会進出を果たして挑んだ。そして、1回戦では春季大会のリベンジ戦である。
厳しい戦いの続いていく中で、この新ユニフォームは、今のところ負けなしの3連勝。幸先のいいスタートとなっている。弘松監督も、「以前のグレー地の時代の監督さんたちにも、連絡をしてユニフォームを変更しますということを伝えて了承を得て、漢字で縦書き表記の‟府中工”だけは残すということで、この形になりました。今のところ、縁起がいいですね」と、嬉しそうだった。
その府中工科、この試合でも序盤に2点、1点と奪いリードした。そして、このリードを左腕の向山 瑚央投手(2年)が、走者を出しながらも丁寧に粘り強い投球で、食い下がる実践学園を巧みに交わしていった。弘松監督は、「場面場面で、その状況に対応した投球ができる投手ですね。決して球威があるというタイプではないんですけれども、ボールの回転はいいと思います。それだけ、指のかかりはいいということだと思います。粘られて、食い下がられたけれども、しっかり打たせて取っていったかな」と、春季大会の雪辱を果たし、逃げ切れたことを喜んでいた。
試合としては、初回の4番・金城 利鷹選手(2年)のタイムリー打以外は、誰がどんな場面でどう打ったということもそれほどなく、細かく好機を作って内野邪飛を犠飛とする得点や内野ゴロや暴投での得点などを重ねていった。そして、9回に打っては5番に入っている向山投手自らが一死三塁で中前打して5点目を加えたことも大きかった。
追いかけ続ける展開となった実践学園だったが、8回、9回に吉田 龍翔選手(2年)や、脇本 周梧選手(1年)のタイムリー打などで食い下がったものの及ばなかった。