今年の高校生プロ志望届提出者は124人。そのなかで9月1日の提出日初日から名を連ねているのが札幌日大の窪田 洋祐だ。 身…
今年の高校生プロ志望届提出者は124人。そのなかで9月1日の提出日初日から名を連ねているのが札幌日大の窪田 洋祐だ。
身長185センチ、体重88キロ。恵まれた体格だけではなく握力60キロ、背筋140キロといったパワー、30メートル走3.88秒のスピードと身体能力の高さも併せ持つ。投げれば最速148キロ、打てば高校通算10本塁打と投打で高いパフォーマンスを発揮してきた。
この将来性を期待されて、既に複数球団から調査書も届いている。ロマンのつまった選手なのである。
小学校卒業時で身長170センチ。幼い頃から秘めていたポテンシャル
窪田自身も「身体能力を生かしたプレーが自分の強みだと思っている」と自らのポテンシャルの高さは認識している。それは夏の甲子園でアピールしていたライバルたちが相手でも変わらない。
「夏の甲子園でプレーした同級生と比べたら、技術では全く敵わないと思います。まだ自分はそこのレベルに到達していないと感じました。それでも身体能力や伸びしろの部分で評価してもらえたらと思っています」
ただ「運動神経はあまりよくないです」と苦笑い。野球以外はあまり得意ではないという意外な一面をのぞかせるが、それでも幼い頃から潜在能力は光っていた。
小学校を卒業する段階で身長は170センチに到達。身長順に並べば、最後尾にいることがほとんど。言葉通り、頭1つ抜けていたが、プレーでも1人抜けていたという。
「速い球を投げるとか、足が速いとか。わかりやすいものに対する憧れが当時ありました。だから結果的に人よりも優れている部分が出てきたと思います」
窪田の言う”わかりやすい”という点でいえば、窪田が投手に対して憧れを持った理由も、シンプルな理由だった。
「野球を始めた頃は、武田勝投手(元日本ハム)が好きでした。特徴がある投手が当時好きだったので、その頃は真似をして遊んでいました。ただそれからは大谷 翔平投手などを見てきて、『ピッチャーかっこいいな』と思ってやってきました」
そんな窪田が全国区になったのは札幌日大での3年間。特に2年夏以降だ。

日本代表候補に選出されて掴んだある自信
中学時代も身長を伸ばして、180センチに迫るほどの大きさまで成長。体重も75キロほどと大型選手として札幌日大の門を叩くと、2年生の夏に甲子園出場。4番打者として打線を牽引。チームにとって初めてとなる夏の甲子園出場に貢献した。
「エスコンフィールドで戦っていた際は、会場の空気に圧倒されることはありませんでした。でも甲子園は独特な雰囲気で、観客も地元の関西の方々ばかりで関西弁が聞こえてくる。これまで経験したことないような空気でした。
自分自身も南北海道大会から調子を落として甲子園に入って、結果を残せなかった。主砲として情けなかったですが、もしコンディションが良くても、初めての舞台で対応できないところが多かったと思います。もう一度レベルアップをしないといけないと感じました」
甲子園では京都国際の前に初戦敗退に終わり、聖地を去る。その後の秋は全道大会ベスト4止まり。チームは2季連続甲子園出場とはいかなかった。が、窪田は春先に開催されたU-18日本代表候補選手たちの合宿に召集。フリーバッティングではさく越えを放つなど、逸材揃いの合宿で存在感を放った。
「全国のトップチームの選手とプレーする機会はほとんどなかったので、超一流を肌で感じられたのは良かったです。特に横浜の野手陣は『やっぱり違うな』と見ていて思いました。
でもフィジカルは負けていない。トップクラスの選手たちと互角だと思いました。体作りへの意識を含めて、自信を持つことができました」
札幌日大には専属のトレーナーがいるのはもちろん、トレーニング施設も備わっている。「トップの環境でやらせてもらっている」と窪田。そこでの成果を合宿のなかで感じたのだ。
「冬場は体重、特に徐脂肪体重指数を伸ばすことを大事にトレーナーと練習を積み重ねています。また逆立ちやロンダートといったマット運動などをするコーディネーショントレーニングをやっています。思い通りに体を動かすにはどうすればいいのか。体の扱い方を理解するためにやってきたので、自分の場合はピッチングでボールに強さが出てきたと思います。
あと個人的に栄養について興味があるので、サプリメントを自主的に摂り入れ続けています。どうしても寮の食事だけでは摂取できない栄養素を補いたかったので、調べながらやった結果、体重は90キロまで増えました。おかげでスイングスピード、打球速度は164キロを出せるようになりました」
特にサプリメントについては「周りから見たらマニアの域かもしれません」というほどの強いこだわりがあるという。

子どもたちから憧れてもらえる選手に
トレーニングの成果はピッチングでも出た。夏の南北海道大会の決勝戦、北海との一戦で先発のマウンドを託されると、初回から148キロを何度も計測。自己最速タイのスピードで北海打線を圧倒した。
「エスコンフィールドのマウンドはかなり硬くてスピードも出やすいと聞いていました。決勝戦という舞台でテンションが知らないうちに高まり、また初回に失点してしまうことが多かったので、『まずは初回』と無意識のうちに力を入れていたと思います。その結果、スピードが出たんだと思います。
でも中盤からは今まで感じたことのない張りを感じるようになって、ピッチングが苦しくなり、交代することになりました」
春の時期にコンディション不良があった窪田。万全な形で大会に入れなかったためか、決勝戦で北海打線を抑えられず、2年連続で夏の甲子園に立つことはできなかった。
だが「(高校で)プロ志望を出す」という信念は揺るがなかった。8月27日付でプロ志望届を提出。投打ともに高いパフォーマンスを発揮する二刀流だが、本人はあくまでチームの意向にあわせてプレーするつもりだ。
「投手であれば球速はもっと伸びると思っていますし、精度も変化球も上げられると感じています。打者であれば身体能力を生かした打球速度の速さは武器になると思っています。
評価された方、期待してくれている方でまず結果を出したいです。そのために投手・野手どちらで指名されても最高の状態で入れるように準備したいと思います。自分の小さい頃がそうだったように、子どもたちやほかの人から見てかっこいい、ワクワクしてもらえる。そんな選手になりたいと思っています」
北の大地から生まれたアスリート型の逸材・窪田 洋祐。待ち望んだ吉報は届くのか。運命の日を待つばかりだ。