若きリリーバー、カーカリングにナインは前を向くように求めた(C)Getty Images 現地10月9日にドジャースとフ…

若きリリーバー、カーカリングにナインは前を向くように求めた(C)Getty Images

 現地10月9日にドジャースとフィリーズが戦った地区シリーズ第4戦はまさかの幕切れとなった。

 1-1で迎えた延長11回二死満塁、一打サヨナラの場面でアンディ・パヘスの投ゴロをはじいたフィリーズ救援オライオン・カーカリングは拾い直したが、本塁へ悪送球。三走のキム・ヘソンがホームを駆け抜け、ドジャースが劇的なサヨナラ勝利で2-1と勝利。リーグ優勝決定シリーズに駒を進めた。

【動画】平凡な投手ゴロで痛恨のミス フィリーズ右腕の悪送球シーンを見る

 歓喜にわくドジャースナインに対し、サヨナラ悪送球となったカーカリングはがっくりと膝に手をつき、呆然。しばらく立ち上がれなかった。
 
 ベンチに戻った際にもカーカリングには監督から熱く声をかけられているシーンが中継に映し出されたが、敗戦の裏側では何が起こっていたのか。

 痛恨のサヨナラエラーとなった若手投手にナインがかけた言葉、情景を『MLB公式サイト』フィリーズ担当のポール・カセラ記者が同サイトで伝えている。

 「『われわれはチームで勝ち、チームで負ける』痛恨エラーの若手投手への言葉」と題した記事の中で、敗戦直後にカーカリングにナインが示した対応、言葉が紹介されている。

 真っ先に走り出したのは右翼を守るニック・カステヤノスだった。地区シリーズでも勝負強い打撃を見せた外野手は「本能的に体が動いた。(カーカリングが)どんな気持ちか完全に理解したわけじゃないけれど、気づいたら走っていた」とカステヤノスは振り返る。

 歓喜にわくドジャースナインをかきわけ、カーカリングの元へ駆け寄ると「顔を上げろ」と肩を叩いたとされる。

 「一人じゃないってことを分かってほしかったんだ」(カステヤノス)

 ロブ・トムソン監督もベンチに引き上げる際にカーカリングに対しては「顔を上げろ」と前を向く姿勢を求めた。「すべてを自分の責任に感じていたようだけど、われわれはチームで勝ち、チームで負ける」とトムソン監督もコメントを残したという。

 今季のフィリーズは投打に充実の戦力を備え、世界一候補筆頭にもあがっていた。地区シリーズ第4戦でもたびたび、攻守に締まったプレーが飛び出し、勝負はどちらに転んでもおかしくなかった。

 そんな中、飛び出したエラーだったが、チームメートたちも"お前だけのせいじゃない"と何度も何度も、カーカリングに伝えた情景が記事ではレポートされている。

 「顔を上げろ」「野球にはこういうこともある」「これはお前だけの責任じゃない」「まだまだこれからだ」と、若いリリーバーが前を向けるようにたくさんの言葉が向けられたとされる。

 その中には今シーズン56本塁打をマークしたカイル・シュワバーもいた。

 「自分も昔、ポストシーズンで2つのエラーをしたことがある。一つのミスでキャリアが決まるわけじゃない」としながら続けて「大事なのはそこから学んで前に進むことだ。カーカリングのキャリアは、これで終わるようなものじゃない」と今後の成長に繋げることを期待したという。

 24歳シーズンのカーカリングは今季69試合に登板、8勝19ホールド、4セーブ、防御率3.30と様々な役割を担いながらチームを支えてきた。

 カーカリング自身も、前を向こうとしている。同記事の中ではカーカリングの残した言葉が紹介されている。

 「今はめちゃくちゃつらい。でも、これを乗り越えて前に進んでいきたい。長いキャリアのスタートになると信じているよ」

 この悔しさを糧にさらに剛腕に磨きをかけるか。今後のキャリアも応援したいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】“クソみたいな判断ミス”に泣いた24歳右腕にド軍ロバーツ監督が異例の同情「素晴らしい投手。誰もあんな目には遭ってほしくない」

【関連記事】「本当に信じられない」佐々木朗希、魂の3回完全投球! フィリーズ打線の圧倒に米記者も脱帽「『特別』と言うのも控えめな表現だ」

【関連記事】背中を押した大谷翔平の「早く投げんかい」 ドジャースベンチが佐々木朗希を続投させた背景にあった“成長”「ロウキは逃げようとしなかった」