「J」と「B」。長崎スタジアムシティ(長崎市幸町)は、長崎に地元チームがあるサッカーとバスケ、二つのプロリーグの本拠と…

 「J」と「B」。長崎スタジアムシティ(長崎市幸町)は、長崎に地元チームがあるサッカーとバスケ、二つのプロリーグの本拠となる「ピーススタジアム」と「ハピネスアリーナ」が隣り合う稀有(けう)な場所だ。二つのリーグはいまは開催時期が異なるが、Jリーグが秋春制になる来年以降は試合を1日で「はしご」できる機会が増えるかもしれない。

 今季で唯一、V・ファーレン長崎と長崎ヴェルカの試合が重なったのは3月1日。「せっかくの機会、どうせなら一日満喫しよう」と、午前中に路面電車でスタジアムシティに出向いた。

 明治安田J2リーグ3節のジュビロ磐田戦はピーススタジアムで午後2時キックオフ。取材受け付け開始の2時間以上前にスタジアムシティに着いた。

 試合前に向かったのは、スタジアムと通路でつながる商業棟内の温浴施設。地下1500メートルからくみあげる天然温泉が自慢の湯で、タオルなど持参しなくても利用できる。ふだん別料金のサウナスペースも折よく無料だった。3種類のサウナを順に楽しみ、さっぱり気分で休憩スペースに行くと、サックスブルーのユニホーム姿でくつろぐ磐田サポーターの姿もあった。

 続いて同じ商業棟のスーパーに行き、験担ぎの食料を買い込んだ。まずは磐田に敬意を表しつつ「相手を食らう」意味を込めてワサビ味のスナックを。磐田の本拠地、磐田市がある静岡県の特産はワサビ、という理由からだ。

 V・長崎については「貝づくし」のパックすしを購入。ここまで2試合で4失点していたため、堅い守りを願ってのことだ。そのかいあってか、この日の試合では堅守をみせ、後半に笠柳翼が挙げた決勝点を守り切り1―0で勝利した。

 サッカーの試合が終わったのは午後4時ごろ。バスケB1の長崎ヴェルカの試合は午後5時5分に始まる。ピースタの歓喜にひたる間もなくカメラ機材をしまい込み、急ぎ足でハピネスアリーナに。相手は強豪の琉球ゴールデンキングスだ。

 光と音楽に彩られた華やかな演出、秒刻みで戦局が変わるスピーディーな展開。アリーナではスタジアムとはまた違う熱気が広がる。使うカメラのレンズは変わるが、勝負の流れを決めるワンプレーを逃さないよう懸命にシャッターを切るのは一緒。ヴェルカはこの日、じりじりと点差を広げられて74―93で敗れた。

 試合後、ヴェルカのモーディ・マオールHCの会見取材を終え、まだ営業時間中だったので再び商業棟のスーパーへ。4割引きになっていた総菜やピザなどを買って路面電車で帰宅した。

 この日の観客数はピーススタジアムが1万5083人、ハピネスアリーナが5546人。V・長崎を応援した後、ヴェルカの応援に駆けつける人たちの姿もみられた。

 今季のB1は先週開幕。4、5日にアウェーでの試合を1勝1敗で終えたヴェルカは、10、11日にハピネスアリーナで佐賀バルーナーズとのホーム開幕節に臨む。リーグ戦は来年5月まで続く。

 馬場雄大らエース級の選手が欠場すると極端に勝率が落ちた昨季の反省から、今季はマルチな役割を高いレベルでこなせる選手をそろえ、白星を着実に稼ぐ戦略。攻撃パターンも増えるといい、観戦の面白さにも磨きがかかりそうだ。

 一方、J1昇格をかけたV・長崎の戦いは山場を迎えており、今季のホームゲーム残り3試合はいずれも満員に迫る来場者が見込まれている。

 Jリーグは今季終了後は特別大会をはさんで来年から秋春制に移行。来年のリーグ戦は8月1週ごろに開幕し、真冬のウィンターブレークをはさんで再来年5月の最終週ごろ閉幕するという。

 移行期間の「お預け」をくわないよう、今季のうちになんとしてもJ1切符をつかんでほしい。(寿柳聡)