フィリーズとの地区シリーズ第3戦では5打数無安打、PS打率.174【MLB】フィリーズ 8ー2 ドジャース(日本時間9日…
フィリーズとの地区シリーズ第3戦では5打数無安打、PS打率.174
【MLB】フィリーズ 8ー2 ドジャース(日本時間9日・ロサンゼルス)
ドジャース・大谷翔平投手は8日(日本時間9日)、本拠地で行われたフィリーズとの地区シリーズ第3戦に「1番・指名打者」で出場するも5打数無安打。チームは2-8で敗れて2勝1敗となり、3勝で勝ち抜けの地区シリーズの決着は、9日(日本時間10日)の第4戦以降に持ち越されることになった。
「ポストシーズンに入ってから、大谷は徹底的にマークされています。相手投手は大谷の時だけ、かなり注意して投げているはずです。甘い球が全然来ないですから。大谷に打たれるとドジャース全体が乗ってしまい、流れを持っていかれますから当然だとは思います」。こう指摘するのは、現役時代に投手としてNPB通算89勝を挙げ、現在NHKのMLB中継解説者として活躍中の野球評論家・武田一浩氏だ。
ポストシーズン初戦のレッズとのワイルドカードシリーズ第1戦では、初回先頭打者本塁打を含む2本塁打で華々しいスタートを切った大谷だが、同第2戦以降の4試合は18打数2安打ノーアーチと振るわず、ポストシリーズの打率はトータル.174(23打数4安打)に落ち込んでいる(成績は8日現在、以下同)。
「日本シリーズもそうですが、短期決戦に勝つには、相手のキーになる打者を徹底的に研究し、“逆シリーズ男”になるくらい封じ込めることが鉄則です。大谷の調子自体が悪いようには見えませんし、レギュラーシーズンで相手のマークを跳ね返してきた選手ですから、どこかで打つとは思いますが……」と武田氏は見ている。
相手が大谷を警戒する分「マークの薄くなった周りの打者が打てば、試合に勝てる確率は上がりますから、それもチームへの貢献のうちです」とも。実際、大谷の後ろの2番を打つムーキー・ベッツ内野手はポストシーズンで打率.409(22打数9安打)、3番のテオスカー・ヘルナンデス外野手は打率.333(21打数7安打)、チーム最多の3本塁打と猛打を振るっている。この上キーマンの大谷のバットに火が付けば、相手はもう手がつけられなくなりそうだ。
対照的にシュワーバーは139メートル特大弾など2本塁打
一方、レギュラーシーズンで大谷との激しい本塁打王を制したフィリーズのカイル・シュワーバー外野手は、地区シリーズ第1、第2戦では7打数無安打5三振と散々だったが、この日の第3戦では4回、ドジャース先発の山本由伸投手から右翼席最上段へ飛距離139メートルの特大同点ソロ。8回にもクレイトン・カーショー投手から右翼席へダメ押しの2ランを放った。復調ののろしを上げた格好である。
武田氏は「シュワーバーの飛距離はMLBトップ級です。ホームランを打つとフィリーズ全体が勢いづくので、ドジャースとしては一番打たせてはいけない打者でしょう」と警鐘を鳴らし、「打率は高くありません(今季.240)が、選球眼が良くて四球を多く取れるので出塁率は高い(同.365)。非常に手ごわい打者です」と続ける。
火がついたシュワーバーに対し、有効な対策はあるのだろうか。武田氏は「仮に僕が対戦するなら、インコースにしか投げません。腕の伸びるところでバットに当てられたら、もうダメと思った方がいい。外角球を“逆方向”のレフトスタンドに放り込むくらいは、余裕でできる打者ですから。腕が伸びないところで打たせるしかないと思います」と述懐する。
リーグ優勝決定シリーズ進出に王手をかけているとはいえ、2年連続ワールドチャンピオンを目指すドジャースにとってフィリーズは侮れない難敵。主砲の大谷とシュワーバーのバットが両チームの勝敗を大きく左右することは間違いない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)