今年のドラフト候補に挙がる高校生でパワーならばNO.1と呼べるのが、エミール・セラーノ・プレンサ外野手(幸福の科学学園)…
今年のドラフト候補に挙がる高校生でパワーならばNO.1と呼べるのが、エミール・セラーノ・プレンサ外野手(幸福の科学学園)だ。
元中日助っ人投手のドミンゴ・グスマン氏を父に持つスラッガーはこの夏、12打数7安打、2本塁打9打点の大爆発だった。この夏の活躍で、評価は大きく高まった。そんなエミールの進化に迫っていきたい。
エミールは世田谷西シニアの蓬莱昭彦総監督から指導を受けており、蓬莱氏が提唱する「ホーライスイング」を学んでいる。
春の打撃を振り返ると、金属バットの反発を活かして、ぶつけにいく感覚でボールを捉えていたが、夏の打撃を見ると、ヘッドの重みを活かし、うまく寝かせたスイングに変わった。打撃練習を見ると一見不格好なスイングに見えるが、上半身、下半身の使い方は柔軟で、うまくボールを拾うことができる。
速球投手になると立ち遅れてしまう選手が多く見られるが、エミールの場合、無駄な力を入れずにボールを捉えられるので、振り遅れの心配がない。この夏、好投手を擁した作新学院戦でも2打数2安打を記録しているように、速球についていくことができる。ファーストストライクからどんどん振っていける積極性、打ち損じをしないミートセンスの高さもあり、粘っこい一面もある。プラスチック製のもののように軽々とバットを振り回し、甘く入れば本塁打を量産できる可能性を秘めている。
脚力も非常に高く、果敢にヘッドスライディングする姿勢は父を思い出させる。守備では、投手として最速145キロを計測する強肩を活かし、シートノックからダイレクト返球を見せる。ただ、送球のコントロールもまだまだで、全体的に守備技術はこれからの選手だ。
打撃だけではなく、守備、走塁でも高い身体能力を生かしたプレーを見せる。走攻守でも華のあるプレーを見せるのではないか。
一番の長所は打撃面。他の高校生打者にはないパワーがある。守備、走塁については、まだまだ身体能力の高さに任せてプレーしているところがあり、技術面の習得が大きな課題。打撃についても、常時140キロ台の速球、変化球を投げるのが当たり前なNPBの世界で、
対応するまでに時間がかかりそうだ。
潜在能力の高さを買って一から育てる球団もあれば、高卒からプロに進むのは時期尚早と判断する球団で分かれるだろう。
うまくいけば下位。育成指名がボーダーラインの選手になるだろう。プロ入りできれば、最初はなかなか数字を残すのは難しいかもしれないが、コツを一気に掴めば、大きく打撃成績を伸ばす予感がする。
いずれにしても、この夏見せた大爆発を次のステージでも発揮できるように、土台固めを行い、ファンをワクワクさせるプレーヤーになってもらいたい。