岡本瑛弐(えいすけ)くん(7)の腎臓は、周りの子どもたちと比べて小さい。 母親のおなかの中にいるときは、検査しても見え…
岡本瑛弐(えいすけ)くん(7)の腎臓は、周りの子どもたちと比べて小さい。
母親のおなかの中にいるときは、検査しても見えないほど。ポッター症候群という重い病気だった。
生まれてから1年ほどは入院生活を送った。腸閉塞(へいそく)も起こしていたため、患部を切るなどの手術を繰り返し受けた。退院後も風邪をひくたびに入院。生まれて数年は満足に体を動かせなかった。
楽しくできるスポーツを見つけたい。瑛弐くんの両親がそう思っていたとき、イベントの知らせに目がとまった。
9月15日、瑛弐くんは家族とともに、東京都西東京市にある早稲田大学の施設を訪れた。早大の運動部が、地域の子どもや住民にスポーツを体験してもらうための「早稲田スポーツフェスタ」が開かれていた。
瑛弐くんは軟らかい剣を操る「フェンシング遊び」や、ボートをこぐトレーニング機器などを体験した。「お兄さんお姉さんが色々教えてくれてよかった。またやりたい」と喜んでいた。
11回目を迎えたフェスタでは今回初めて、長期療養の必要な子どもと、その家族が2組招待された。
企画したのは早大2年生のホッケー部員、菊地理沙子さんだ。
菊地さんには長期療養を必要とする親類がいた。祖母は、長期療養が必要な子どものための宿泊施設を運営していた。菊地さんは、長期療養児にはやりたくてもできないことがたくさんあること、その家族の苦労などを肌で感じながら育った。
大学では、誰もがスポーツをする権利を持つということを学び、自分にも何かできないかと考えた。そこで、長期的に治療・療養を必要とする子どもたちにスポーツの機会を提供している特定NPO法人「Being ALIVE Japan」と協力。フェスタに参加したい家族を募った。
フェスタ当日、菊地さんは、呼びかけに応じてくれたサッカー部員とともに2人で瑛弐くんに付き添った。瑛弐くんが何を優先的に体験したいのかを聞き取って、引率。体験中は褒めたり、励ましたりして盛り上げた。
菊地さんは言う。「機会や選択肢が限られる子が、自分でやりたいスポーツを選んで楽しむことができる環境を作ることがゴール」
そのためには、各地で社会貢献活動に取り組むスポーツチームを増やす必要があると感じている。選手にとっても社会貢献活動に参加することが新たな学びとなり、競技への意欲も高まると感じている。
こうした考えを強くするきっかけは、この夏。他大学の運動部員とともに、アメリカの大学生の集まりに参加した。
アメリカの大学では、人格教育の一環として、運動部員が当たり前のように社会貢献活動に時間と労力を割いていた。(後藤太輔)