◇国内女子メジャー第3戦◇日本女子オープン 最終日(5日)◇チェリーヒルズGC(兵庫)◇6616yd(パー72)◇雨(…

夫の高坂圭祐さんと約束の2ショット

◇国内女子メジャー第3戦◇日本女子オープン 最終日(5日)◇チェリーヒルズGC(兵庫)◇6616yd(パー72)◇雨(観衆7439人)

晴れやかな気分だ。9年前、アマチュアだった畑岡奈紗に自分が崩れて優勝をさらわれた大会の優勝カップを手にしたら、夫が肩を抱いてくれた。ミセスVにつきものの2ショット撮影。「私は恥ずかしいです。しませんよ、そんなこと!」。何度もそう言っていた堀琴音だが、実現するとやっぱりうれしい。

昨年末に結婚した高坂圭祐さん。ゴルフと無縁な同学年。「特殊な仕事だし、家には日曜の夜ぐらいしかいられないし」と申し訳なさそうな堀を「明るくて優しい、いいお嫁さんです」と見守ってくれる。あまりゴルフの話はしないが、決まって言う言葉は「今度優勝した時は、そこに絶対に自分もいて、カップを持って2ショットを撮りたい」―。最終日、ギャラリーの中にいくら姿を探してもいなかったのに、優勝決定後、グリーンを降りたら、そこにいた。朝一の新幹線で都内から駆けつけて約束を守ってくれた。

思えば、あの人もこの人も…

人に恵まれている。「もしいなかったら、絶対に3勝はなかった」と堀が断言する存在が、森守洋コーチだ。痛恨のV逸から2年後の2018年にドライバーイップスから3年連続で守ったシードを失った。そのシーズン途中で門をたたいた。

「こっちゃん(堀)はイップスじゃないよ」と言ってくれた。堀は「失礼だけど、最初は教えてくれることが何も分からなかったんです。でも、コーチはなんかいつもポジティブで」と言う。そんな空気に触れるうち「自分は調子悪くないのかな?」と思えるようになった。それでも、持ち球のドローにはこだわった。フェードにしたのは、入門後約2年たった2021年開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」。ドライバーが右にすっぽ抜けた直後、いきなり変えた。それが4カ月後の「ニッポンハムレディス」での初優勝、22年の2勝目、この日のリベンジVにつながった。「コーチはずっと言ってくれていたのに…。頑固ですよね」と苦笑いで感謝するしかない。

大好きな人たちに支えられて

球筋変更から2週間後には“フェードの先生”が登場した。フェードが武器のショットメーカーとして通算14勝を積み上げた先輩プロの有村智恵と、オープンウィークにラウンドをともにする機会に恵まれ、フェードの何たるかをスペシャリストに教わった。それが今季フェアウェイキープ率81.4%(1位)という驚異のデータの出発点かもしれない。

そもそも、なぜ森コーチ、有村とつながったのか? そこにいるのは、森門下の姉弟子で、有村の親友の原江里菜。明るく面倒見のいい姉御肌の先輩は、この日の優勝の最後のピースでもある。復活の2勝後、パットの悩みが深まっていた2023年。原が「長尺に替えなよ!」と背中を押してくれた。長尺パターの先駆者の一言が決め手だった。

3勝中2勝をサポートしてくれた大溝雅教キャディと

大溝雅教キャディの存在も大きい。男女ツアー通算34勝をサポートした59歳の大ベテラン。長年にわたり年間数試合、帯同を頼む。「こっちゃん? 大丈夫、大丈夫。うまいから。曲がんないからね」と取材を受けるたび、堀への信頼だけを口にする相棒とは、今大会が今季最後のタッグだった。

コーチも、先輩も、キャディも誰一人欠かせない。必死で頑張り抜いた堀琴音には、力強い仲間たちがいた。(兵庫県三木市/加藤裕一)