(5日、秋季兵庫県大会決勝 神戸国際大付4―0市尼崎) 神戸国際大付が、最大のピンチを迎えたのは、六回裏だった。 1死…
(5日、秋季兵庫県大会決勝 神戸国際大付4―0市尼崎)
神戸国際大付が、最大のピンチを迎えたのは、六回裏だった。
1死満塁。伝令がマウンドに送られ、捕手の井本康太主将(2年)はエースの秋田依吹投手(2年)に声をかけた。「大丈夫。打って取り返すから」
3球で追い込んだが、そこから粘られた。鋭い打球が何度も三塁線に飛び、市尼崎のスタンドからは大声援がおこった。それでも井本主将はエースを信頼していた。ストライクゾーンに球を集めて9球目。併殺で切り抜けた。
井本主将が正捕手だった今夏の兵庫大会は準々決勝で投手陣が打ち込まれ、コールド負けした。秋田投手を含め、大会通じて2年生3人が登板したこともあり、「3年生の夏を終わらせてしまったと感じている選手が多い」と井本主将は言う。
自責の念から生まれた変化は「自覚」だった。一球に対する姿勢やミスに対する向き合い方など、井本主将は「自ら動く選手が多くなった。一人一人の自分がやらなきゃという自覚が成長した所だと思う」と話す。
課題を克服した投手陣は、県大会5試合でわずか4失点で、秋田投手は4試合を投げて自責点が0。強打の印象が強い神戸国際大付だが、際立った投手力をみせつけた優勝だった。
兵庫を制したのは2021年の夏以来。井本主将は「最高の景色です」と語る。ただ、めざすは甲子園の舞台だ。
「まだまだチャンスでの一打が出ないことや、記録に残らないミスが多い。足りない部分を短い期間だが近畿大会までに取り組んでいきたい」と、緩みはなかった。(原晟也)