<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:浦和学院4-3上尾>◇4日◇準決勝◇県営大宮球場 「きつかった」とは、試合後涙…

<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:浦和学院4-3上尾>◇4日◇準決勝◇県営大宮球場

 「きつかった」とは、試合後涙ながらに語る森監督の第一声。

 「関東狙って行こうって皆で言ってて最後投げ切れて嬉しかった」と、投打の立役者西村 虎龍(2年)が試合後涙を見せると、それを受け指揮官も貰い泣き。「苦しかったですよ。上尾は1年生の体の大きいフレッシュな子が出てきて迷いなくプレーしていた。昨秋浦和実に敗れ、浦学、徳栄じゃない高校も狙えると周りから思われて、うちは本当に苦しい思いをして。西村はもちろん、皆が繋いで本来の浦和学院の良さであるまとまりで勝てたのは大きい」と、指揮官は感情を爆発させる。それだけ追い詰められ厳しい試合だったことを物語っている。

 公立高校の躍進が目立つ今大会の象徴であり44年ぶりの秋・関東を狙う”公立の雄”上尾 vs 3年ぶりの秋関東を狙う浦和学院との一戦。昨秋、今春と共に旧チーム同士の対決では浦和学院が勝利しているが今回はどうか。

 先発は浦和学院・伊藤 漣(2年)、上尾・辻岡 瑛人(2年)と両エースが登板し試合が始まる。

 両投手持ち味を出す投球を披露し両校無得点で迎えた4回、先制したのは上尾。

 伊藤は4回表、この回先頭の上尾・辻岡に左前打を浴びると、続く菊池 龍希(1年)にも右フェンス直撃の適時二塁打を浴びる。ただその後の無死二塁のピンチは元々ショートということもあり、相手のバントを好フィールディングで三塁封殺するなど追加点は許さない。

 すると浦和学院はその裏、1死から5番・西村が中越えの三塁打を放つと続く玉榮 久豊(2年)が犠飛を放ちすぐに1対1の同点とする。

 その後は両投手が踏ん張り、7回に再び試合が動く。

 伊藤は7回表上尾打線に捉えられる。1死からショートゴロエラーをきっかけとし、7番・並木 慎之介(2年)、8番・坂田 奏羽(1年)、9番・森田 佑樹(2年)に3連打を浴び1対2と勝ち越され、なお1死満塁のピンチでマウンドを2番手・日高 創太(2年)に譲る。代わった日高も2死後、この日2番に打順を上げた関根 賢成(2年)に中前適時打を浴びるが、2塁走者は鈴木 謙心(2年)の好返球で本塁封殺し2点でこの回のピンチを凌ぐ。

 すると、浦和学院もその裏、この回先頭の大宮 翔(1年)が中越えの三塁打を放つと続く伊藤が犠飛を放ち2対3と執拗に上尾に喰らい付いていく。

 迎えた8回表、浦和学院はこの回からマウンドに上がった3番手・城間 琥珀(2年)が3番・辻岡に左前打を浴びると、その後2死二塁から6番・関谷 武志(1年)に右前打を浴び2死一、三塁とピンチが広がる。さらに、その際ライトからバックホームした西村が足を攣る。

 ただ、元々森監督は関谷までが城間、続く並木からは西村へ継投する予定だったそうで「『行けるか』って聞いたら『大丈夫です』って話だったので、足は攣っていましたが行かせました」と、西村の足の治療後、何とマウンドにはその西村が上がる。

「攣ったのは右足のふくらはぎ。(足を攣ってからの登板は)正直最初は投げると思ってなくて。『投げるぞ』と言われてびっくりしたんですが、攣ったことによる中断があったので、そこで気持ちを整理することができた」と、西村がこのピンチを凌ぐとここから試合の流れは浦和学院へ傾く。

 浦和学院はその裏、この回先頭の法量 章太郎(1年)が中前打を放つと続く藤澤昂輝(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。ここで西村が「追い込まれて変化球をカットしようと思っていたが運良く良い所に飛んだ」と、一塁線を破る適時二塁打を放ち同点とすると、続く玉榮も中前打を放ちこれが決勝点。

 最終回も西村が上尾打線を三者凡退に抑える。

 結局、浦和学院が上尾を4対3、終盤の逆転で下し、秋3年ぶりの関東大会進出を決めた。

 浦和学院は終始厳しい展開も余計な点を与えなかった事が最後に効いた形だ。「外野が深く守り過ぎず、鈴木が本塁で刺して4点目を与えなかったのが大きい。WBCのメキシコ戦を選手達に見せたんですけど、自分の体制になってから負けが続いていたので同じように我慢の展開でよく逆転をしてくれた。あれだけポテンシャルの高い3年生を見て、現実を知ってもがいた2年生達が結果を出せたことが大きかった」と、指揮官は安堵の表情を浮かべる。「夏3回戦で負けて苦しかった中で、もちろん優勝というものは大前提であるんですけど、関東を決めるということは成果として良かった。決勝でも粘り強く諦めない今年の浦和学院の良さが発揮できたら」と、締め括った森監督。

 もちろん、浦和学院だけにいつでも優勝は狙うべき所であるが、夏早期敗退しただけに、ホッとしたというのが正直な所であろう。明日の決勝は花咲徳栄相手にどこまで粘れるかが鍵になりそうだ。