東京・後楽園ホールで4日、プロボクシングの興行が行われ、主催の帝拳ジムが新たな安全対策を敷いた。 この日、会場には日本…
東京・後楽園ホールで4日、プロボクシングの興行が行われ、主催の帝拳ジムが新たな安全対策を敷いた。
この日、会場には日本医科大学付属病院高度救命救急センター(東京都)から、車内でX線検査や手術も行える大型の救急車が待機。同センターから救急科専門医1人に救急救命士2人が派遣され、リングドクター2人とともに、リング下で試合を見守った。
帝拳ジムにとっては、再出発の日となる。
8月2日にあったプロボクシング興行に出場した神足(こうたり)茂利、浦川大将(ひろまさ)の2選手が、急性硬膜下血腫で死去した。浦川選手は帝拳ジム所属だった。
2023年12月、日本バンタム級タイトル戦に挑んだ穴口一輝選手が試合後に緊急手術を受け、翌年2月に死去した。今年5月には、元世界王者の重岡銀次朗選手が世界戦で深いダメージを負い、いまもリハビリ中だ。
ボクシングという競技の安全性に疑問が投げかけられる事故が続いていた。
帝拳ジムは9月6日に開催予定だった主催興行を、安全対策が整っていないとして延期。前日3日、日本医科大との提携などをまとめた「帝拳セーフボクシングプロジェクト」を発表し、事故が起きた際に迅速に対応ができる体制をつくった。
この措置は現状、帝拳の主催興行で敷く予定だが、日本プロボクシング協会の小林昭司会長は「これを日本でやるすべての興行に広げないといけない。お金の算段が必要だが、なんとかしなければ」と、体制構築を急ぐという。
試合を管理する日本ボクシングコミッションとは今後、調整していく構えだ。
帝拳ジムの本田明彦会長は、「我々にはしっかりとした安全対策を敷く責任がある。やれることをやらないといけない。まだまだやれることはある」と話した。(塩谷耕吾)