アメリカで人気ナンバーワンのストックカーレース、NASCAR(ナスカー)の第31戦が開催された。クラッシュしたマシンが…
アメリカで人気ナンバーワンのストックカーレース、NASCAR(ナスカー)の第31戦が開催された。クラッシュしたマシンがピットへ戻った際に、割れたボディをテープで修復するシーンが見られ、その“いい意味で”アバウトな手法が話題になっている。
267周で争われるレースも残り49周となったところで、オースティン・シンドリックの2号車がピットへ入った。中位集団の行列のなかで後方のマシンに接触されてスピンし、そのままアウト側のサイドウォールに激突してしまったためだ。なんとか自チームのピットボックスまでたどりついて停車したシンドリックのフォード・マスタングは、全体的にキズだらけで、特にフェンダー(ホイール上辺のカバーパーツ)が割れかけており、ボンネットとの間のすき間が広くなっている。
そこでピットクルーが取り出したのは大きめのテープだった。工事現場などで使用されるダクトテープにも見えるが、クルーはこれを使ってすき間を埋めようとしている。レーシングカーのボディにテープで補修というのは意外と思われるかもしれないが、実はこのテープ、NASCARではお馴染みの存在である。
9月30日の中継で実況の増田隆生氏が「出ましたね、テープ」とコメントしたとおり、シンドシックだけに限らず、多くのマシンやチームで、ボディが曲がったり、パネルに穴が空いた時など、補修のために重宝されているアイテムだ。今回のシンドリックのマシンも相当なダメージを負っていることが想像されるが、「何がなんでもリタイアは避けて1ポイントでも取るために」と増田氏も話している。空気抵抗や燃費など諸条件を度外視して完走を目指すための修復である。
驚きの光景だが、NASCARらしい部分でもある。精密なマシン構造のF1だったらあり得ないことが、NASCARでは当たり前に見ることができる。ちなみに、シンドリックは30位ながら見事に完走した。現状12人中12位ながら、まだプレーオフ上位進出へ望みを繋いでいる。(ABEMA『NASCAR Groove』/(C)NASCAR)