<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:上尾6-2熊谷商>◇2日◇準々決勝◇県営大宮球場 今大会は公立高校の躍進が目立…
<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:上尾6-2熊谷商>◇2日◇準々決勝◇県営大宮球場
今大会は公立高校の躍進が目立つ大会となっている埼玉県。
県営大宮球場は”上尾vs熊谷商”という1970-80年代中盤(昭和50-60年頃)「2強」として切磋琢磨し、公立王国と言われていた埼玉県の筆頭格として引っ張っていた両校の対決がベスト8で実現。「俺らの頃は常に熊商とうちが決勝でやってたんだぞとか、40年以上互いに甲子園に行っていない2校が戦うことの意義とかは伝えました。この両校がベスト8で当たれることは誇りだし、勝てるかはわからないけど良い試合しような」と、高野監督は、その想いを選手へ伝える。果たして伝統校対決を物にするのはどちらか。
熊谷商は今大会屈指の左腕・大久保 美槻(2年)がチームを引っ張る。昨秋までは技巧派であったが、その後球威が増し本格派へ。初戦、前評判の高かった川口工から16奪三振を奪うと、前の試合では今夏の甲子園出場校・叡明相手に5安打13奪三振1失点で完投勝利を飾りここまで勝ち上がった。
一方の上尾は1年生が中心の若いチームで、しかも1年生に大柄な野手が多い。「僕のやりたい野球のイメージと違う選手が出ているが、私学強豪校がたくさんいる埼玉で勝ち抜くことを意識した場合、可能性のある選手を起用していかないと。一番を狙うことを意識した場合、鷲宮時代を含め毎年公立の壁というか、増渕を擁した時でさえ、決勝まで行っても打線の弱さで跳ね返された。なのでしっかりと振りの強い私立高校のポテンシャルにも対応できる体を持っていてスイングができる子を。多少リスクは伴うんですけど新チーム結成時からずっと使ってます」と、指揮官が期待する3番・関谷 武志、4番・菊池 龍希の両1年は素材タイプなため、実際は5番から2番までの下位から上位への打線の繋がりが鍵を握る。投手陣では県大会当初はエースナンバーをつける1年生左腕・武田 歩がメインで投げる予定も、県初戦で打ち込まれると、その後は地区予選の東農大三戦でも好投した右サイド・辻岡 瑛人(2年)がメインで登板し前の埼玉栄戦でも延長10回を完投している。
先発は熊谷商がその大久保、一方の上尾もこれまで同様に辻岡が登板し試合が始まる。
両投手共に序盤はその持ち味を十二分に発揮する投球を披露する。
先制したのは上尾であった。
4回裏、1死から5番・丹田 悠大(2年)の内野安打と続く関根 賢成(2年)がセーフティーバントを決めると、さらに相手のワイルドピッチが絡み1死ニ、三塁とチャンスが広がる。ここで7番・並木 慎之介(2年)がセーフティースクイズを試みる。打球はチャージしてきたファーストの前に転がり、三塁走者は大きくオーバーランした止まる。試みは失敗に見えたが、ファーストは三塁走者を刺しに行かず、一塁へ送球。その間に三塁走者が生還し上尾に先制点が入る。
上尾はさらに2死三塁から、8番・坂田 奏羽(2年)、9番・森田 佑樹(2年)、1番・小森 俊太(1年)の3連打で2点を追加しこの回大きな3点を奪う。
これで楽になった上尾は、6回裏にも熊谷商の2番手・横山 真悟(1年)に対し、2番・辻岡の左フェンス直撃の適時2塁打と関谷の適時三塁打で2点を追加し5点差をつける。
上尾・辻岡は7回表に1死二塁から6番・島﨑 琉生(2年)の適時二塁打と8番・大久保の中前適時打で2点を失うも、その裏坂田の左前適時打で1点を追加し6対2とする。
投げてはエース辻岡が4,5回に4者連続三振を奪うなど熊谷商打線に対し、6安打無四球10奪三振2失点の好投。
結局、13安打を放った上尾が6対2で熊谷商に勝利し、秋4年ぶりの準決勝進出を決めた。試合後高野監督は「ボールのキレが良いので左打者は特に苦労した。大久保君は外中心の配球なので外をイメージして良いボールは絶対打てないので低めは振らないことと、浮いてきた球を狙えと言っていたんですが序盤はノビがあって球質が良くなかなかうまくいかなかった。坂田の2点目が大きかった。空振りだと何も起こらないのでとにかく当てろと。思いのほか打線が頑張って粘ってくれました」と、大久保を攻略した打線を賞賛する。
そして辻岡含めた投手陣についても「頑張ったと思います。100点です。彼は相手を見て投げることができるので。7回は少し疲れが出た。前回勝ち上がった時もそうですが辻岡だけだと厳しいので、次は辻岡はもちろん他の投手にも期待したい」と、賛辞を贈りつつ課題についても触れる。
次は4年前の秋同様、準決勝で立ちはだかるのは浦和学院だ。その時は宮城、金田等を擁する浦和学院相手に2対3。ちなみに昨秋・今春にも2度対戦し敗れている因縁の相手だ。「今年の強みは純粋で自分たちがあまり強いと思っていない所。無欲で辻岡も元々野手で決して練習試合で結果を出し続けてきた選手ではない。素直にこちらの言うことをしっかりと徹底して欲を出さずに戦えること。次はきっちりと送ることと取れるアウトをきっちりと取ること」と展望を語る。地区予選時は新チームを評し「来年のチーム」と、やや弱気なコメントだった指揮官も今は「4年前の秋同様に喰らい付いて、できれば先制点を取りたい」と、力が宿る。
今度こそ浦和学院の壁を、私学の壁を突破し関東への扉を切り開くことができるか。