<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:花咲徳栄4-1春日部共栄>◇2日◇準々決勝◇県営大宮球場 県営大宮球場の第2試…
<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:花咲徳栄4-1春日部共栄>◇2日◇準々決勝◇県営大宮球場
県営大宮球場の第2試合は花咲徳栄vs春日部共栄という、一昨日に続き東部地区のライバル対決。この2校はよくぶつかる印象があるが意外にも4年ぶりの対戦。
花咲徳栄は、最激戦ブロックに組み込まれたこともあり、これで中1日で4試合目の先発となる最速145km右腕の黒川 凌大(2年)が果たしてどこまで頑張れるのかが鍵だ。
一方の春日部共栄も最速140km左腕のエース前田 悠太(2年)が今夏や新人戦でも制球を乱すことが多く苦しんだ。それでも県大会直前の練習試合で手応えを掴むと南稜戦、武蔵越生戦と徐々に調子を上げこの日の登板に臨む。
先発は、花咲徳栄・黒川と春日部共栄・前田と両エース同士が先発し試合が始まる。
強打の花咲徳栄打線だが、序盤はきっちりと内外角へ直球を投げ込める前田に苦しむ。
一方、前の試合150球を投げ中1日、状態が心配された花咲徳栄・黒川だが、前回登板時より序盤から制球が良くスイスイと無失点で切り抜ける。
先制したのは花咲徳栄。
4回表、敵失や暴投、死球などで1死一、三塁とし、6番・本田新志(2年)が犠飛を放ちこの回ノーヒットで1点を先制する。
花咲徳栄は6回にも1死一塁とし、奥野が送りバントを試みる。捕球した前田は一塁へ送球するが、直前まで一塁捕球準備をしていたファーストが直前で元々カバーをしていたセカンドへ一塁ベースを譲る。結果セカンドも捕球できず1死一、三塁とチャンスが広がる。ここで本田が右前適時打を放ち2点目を奪う。
これで試合の流れを掴んだ花咲徳栄は、最終回にも1死から8番・黒川の左フェンス直撃の三塁打を足がかりとし、続く市村心(2年)の右前適時打やエンドランなどでさらに2点を追加し勝負あり。
投げてはこの日も花咲徳栄・黒川が9回途中2安打10奪三振無失点と好投。最後のアウトは2番手で登板した1年生左腕・古賀 夏音樹がやや手こずり1失点も後続を抑え事なきを得る。
結局、花咲徳栄が4対1で春日部共栄を下し準決勝進出を決めた。
花咲徳栄は「前田くんが秋に入ってあまり良くないと聞いていたが、最高のピッチングをされてしまって、打者によって配球も変えてきてたし。打つボールを絞っていかないと前半は止まるかなと」と、岩井監督が言うように序盤やや想定外の展開も、そこは百戦錬磨の指揮官と選手。
投打共に夏の経験者が多く「2巡目、3巡目で捉えられるように終盤勝負と言ってきた。そんな中でうまいこと先制点を取ってくれて、後はタイムリーを打ってくれたら一気にいくかなあと話をしていた。三振しないで低い打球を打てて相手の守備の綻びにつけ込めたのはよかったかな」(岩井監督)と、中盤以降相手のミスに付け込み先制、中押し、ダメ押しと効果的に得点を重ねる試合巧者ぶりを発揮し快勝。
何より指揮官は「今日は黒川。球数も少なく行ってくれたんで次もありますし。早め早めの勝負ってことはキャッチャーにも行ってあったんで。3球勝負も辞さない。気持ちでしょうね。この前の試合より球が走っていたんで。丈夫な体に産んでくれた親に感謝。とにかくバテない」と、今大会獅子奮迅の活躍を見せるエースの好投を手放しで誉めた。
黒川の配置転換については「先発に回ってから前半・中盤・後半と分けて考えられるようになった。後半になると球が生き返る。制球重視の場面と力を入れて投げる場面。ギアの入れ方がだいぶわかってきた。あの暑い中ずっと夏休み完投完投させたんで。例えば前半力を入れて中盤制球重視で変化球を混ぜて終盤力で抑えに行くとか。なかなかできないんだけどだいぶできるようになってきた。体に染み込ませた。8回くらいにもう一度ギアが上がって来ないと先発で勝てないことは彼にも言っていたんで。そのためには体質改善であったりとか、走り込みとか、上半身の強化とかは彼に言ってきて、だいぶできるようになってきた」(岩井監督)と、新チーム結成時からエースとしてメソッド通り順調にきていることを強調する。
だが、黒川本人は「今日は立ち上がりから良かったですし球自体も悪くなかった。前田くんも球が速いので序盤手こずりましたが野手がよく点を取ってくれた。中学時代から体作りの部分はやってきた。今回は序盤制球重視で、中盤以降どんどんギアを上げていった。完投能力の部分はまだまだ手応えという所まで行っていない。もう少し立ち上がりを意識したい」と、まだ道半ばを強調しさらなる高い頂を目指す。
「次勝たないと意味ないんで。黒川の球数のこともあり、古賀が頭から行く可能性もある。今日は真ん中で打ち損じてくれたらって言ってあって今日みたいな投球はしないので大丈夫。簡単な戦いは一つもないので次もきっちりと低い打球を打って取れるアウトをきっちり取るだけです」と、既に次の戦いへ切り替わる指揮官。今大会最大の山を超えたことに違いはないが次戦へ油断も隙もみられない。
このチームがどこまで勝ち上がるのか今後も注目していきたい。