りそ…
りそなグループ Bリーグ2025-26シーズンがついに開幕する。節目となる10年目のシーズンに向けて、この夏は多くのクラブが大胆な補強を敢行。富永啓生のレバンガ北海道加入やNBAドラフト1巡目指名選手の参戦などが大きな話題となるなか、実力者の国内移籍も活発に行われた。本記事ではそんな国内移籍をした選手たちの中から注目選手10人をピックアップして紹介する。
文=小沼克年
■井上宗一郎(越谷アルファーズ→仙台89ERS)
日本代表経験が豊富な井上宗一郎だが、Bリーグではプレータイムの確保に苦しんでいる。サンロッカーズ渋谷でプレーした2022-23シーズンは1試合平均5分台の出場にとどまり、昨シーズンのB1では57試合の出場で同7分44秒。いかにコート上で自身の価値を示すことができるかが試される。
新天地は東地区最下位からの巻き返しを狙う仙台89ERS。まずは得意の3ポイントシュートでチームの得点力向上に貢献したい。201センチの身長はチーム内で3番目の高さであり、今季の仙台はウイング陣にジャレット・カルバーなどの新戦力を補強。井上を含めたビッグラインナップが機能するかも重要なポイントだ。『GRIND』の精神で粘り強く、泥臭いプレーでもチームを助けたい。
■小島元基(サンロッカーズ渋谷→茨城ロボッツ)
茨城県出身の31歳は、プロキャリア10年目の節目に地元クラブへ活躍の場を移した。小島元基は京都ハンナリーズに入団したルーキーイヤーから爪痕を残し、2017-18、2018-19シーズンにはアルバルク東京でリーグ2連覇を達成。得点力とディフェンス力もさることながら、ゲームの流れを読み、状況に応じた「正しいプレー」(小島)ができる正統派ポイントガードだ。
動けなくなってから地元に帰ってくるのはやめろよ──。今回の移籍には、2019年にこの世を去った父からの言葉も後押しとなった。昨シーズンは、わずか12試合の出場にとどまり悔しさを味わった。心機一転、2025-26シーズンは再び輝きを取り戻し、茨城の躍進を支える重要なピースとなれるか。
■ケリー・ブラックシアー・ジュニア(広島ドラゴンフライズ→群馬クレインサンダーズ)
群馬クレインサンダーズの補強で大きな注目を浴びたのは、広島ドラゴンフライズとの複数年契約を解除して加入した中村拓人だ。しかし、ケリー・ブラックシアー・ジュニアもインパクト大の補強と言えるだろう。中村とともに広島から移籍したビッグマンは、リーグ優勝を成し遂げた2023-24シーズンに「ベスト6thマン」を受賞。昨シーズンも平均15得点7.9リバウンドのハイパフォーマンスを披露した。
高いバスケットボールIQを持つブラックシアーは、内外からの得点、リバウンド、ディフェンスとオールラウンドなプレーが可能。「周りの選手を次のレベルに引き上げるようなプレーをしていきたいですし、コート上ではリーダーシップも発揮したい」と意欲を示している。
■津山尚大(島根スサノオマジック→川崎ブレイブサンダース)
川崎ブレイブサンダースへ移籍した津山尚大の強みは、ポイントガードとシューティングガードの両方で質の高いプレーができる点にある。フィジカルを生かしたディフェンスだけでなく、3ポイントシュートを軸とした高い得点力も魅力。昨シーズンは島根スサノオマジックのチャンピオンシップ進出の原動力となり、クォーターファイナルでは平均14.5得点3.5アシストをマークした。
北卓也ゼネラルマネージャーは「平均2ケタ得点した日本人選手がいなかった」ことを昨シーズンの課題に挙げ、オフェンス力向上のキーマンに津山を指名。津山を語るうえで、闘志を全面に出すリーダーシップも欠かせない。新たなスタートをきる29歳は、「自分がしっかりとリーダーシップを発揮してチームを引っ張っていきたい」と抱負を述べた。
■安藤誓哉(島根スサノオマジック→横浜ビー・コルセアーズ)
この選手が移籍すればリーグの勢力図が変わる──。そう思わせる実力と影響力を備える選手の1人が安藤誓哉だ。島根スサノオマジックへ移籍した2021-22シーズンにレギュラーシーズンベストファイブに選出され、昨季は日本人トップの平均16.3得点を記録。2019-20シーズンから平均2ケタ得点をマークし続けるリーグ屈指の点取り屋である。
「1番驚いたのはコミュニケーションの量」とルーキーの前野幹太が語るように、周りを巻き込む能力もピカイチ。「コート上でトラブルが起きたときもすぐに解決しようと率先して声をかけてくれます。昨シーズンよりもチーム内のコミュニケーションが増えているのは本当に誓哉さんのおかげです」(前野)。安藤の加入で横浜BCがどう生まれ変わるのか。非常に見ものである。
■小川麻斗(千葉ジェッツ→京都ハンナリーズ)
千葉ジェッツの小川麻斗は、期限付き移籍で京都ハンナリーズでのプレーを決断。新指揮官に就任した伊佐勉ヘッドコーチとは、サンロッカーズ渋谷で特別指定選手としてプレーした2021-22シーズン以来の共闘となる。
主力ガードが退団した今季の京都は、“全員バスケ”がキーワード。激しいプレッシャーディフェンスと的を絞らせない攻撃を軸に、アップテンポな展開を披露して2度目のCS進出を狙う。そのうえで、小川のスピードは大いに武器となるだろう。昨季は2023-24シーズンから出場時間が半減しただけに、本人にとっても無念を晴らすシーズンを迎える。背番号12のポイントガードが仕掛ける激しいディフェンス、多彩なオフェンスに注目だ。
■坂本聖芽(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ→大阪エヴェッサ)
坂本聖芽は2020-21シーズンから過ごした名古屋ダイヤモンドドルフィンズに別れを告げた。キャリア初の移籍を果たした26歳は、圧巻の脚力とクイックネスを武器とするポイントガード兼シューティングガード。オフェンスでは一瞬でマークマンを置き去りにし、守備では執拗に相手にプレッシャーをかけて流れを引き寄せる。
「対戦相手だったときからわかっていましたが、ディフェンス力が本当に素晴らしいです。練習中も前からガツガツ仕掛けてきますし、大阪が目指しているバスケットにすごくマッチしていると思うので、すごく頼りにしています」と語るのは、チームメートの牧隼利。新天地でも切れ味鋭いプレーでチームを活性化させる活躍が期待される。
■岡田侑大(京都ハンナリーズ→島根スサノオマジック)
唯一無二の存在として君臨した安藤誓哉が抜けた今季、島根スサノオマジックの新たな顔となり得るのが岡田侑大だ。189センチと上背のあるガードプレーヤーは、緩急自在のドリブル、パス、シュートでコートを支配。昨シーズンは平均15.7得点を挙げて通算4000得点を達成。さらにはリーグ5位となる平均5.5アシストの活躍で京都ハンナリーズをけん引した。
今季の島根はニック・ケイ、コティ・クラークといったインサイド陣が残留。しかし、ガード陣では岡田を含む4名が新たな顔ぶれとなった。指揮官も代わりチームの転換期を迎えるなか、背番号77にかかる期待は一際大きい。キャプテンのケイとともに、頼れる大黒柱としてチーム再建の中心を担う。
■クリストファー・スミス(千葉ジェッツ→広島ドラゴンフライズ)
日本では2021-22シーズンから千葉ジェッツでプレー。途中加入した2023-24シーズンを含め全てのシーズンで平均2ケタ得点をマークしており、レギュラーシーズンベストファイブに選出された経歴を持つ。
クリストファー・スミスの代名詞は、高い打点から放たれる高精度の3ポイントシュート。「今シーズンは中でも外でも点が取れる」と司令塔の寺嶋良が強みを口にした「外」の部分では、スミスの加入が大きな要因となっている。大舞台での勝負強さもスミスの頼もしい一面だ。千葉Jのタイトル獲得にも貢献してきたスコアラーは、昨シーズンのCSでは5試合で平均19.2得点という数字を叩きだした。広島を2度目のリーグ制覇へ導く大きな原動力となるだろう。
■佐土原遼(ファイティングイーグルス名古屋→琉球ゴールデンキングス)
昨シーズンはキャリアハイを更新する平均12.8得点3.6リバウンドを挙げ、日本代表のユニフォームに袖を通した。飛躍の1年を送った25歳は、さらなる成長を求め琉球ゴールデンキングスへ移籍。佐土原遼の強靭なフィジカルを駆使した力強いプレー、安定感のあるアウトサイドシュートは琉球にどれほどの戦力向上をもたらすのか。
「インサイドでスイッチをしても1on1で守ってくれますし、そういった場面でダブルチームに行かなくて済むのは僕らとしても本当に助かります」と、 脇真大は新戦力のすごさを既に実感しているようだ。佐土原の加入によりリーグ王座奪還はもちろん、天皇杯、東アジアスーパーリーグ(EASL)との3冠達成にグッと近づいた。
【動画】横浜BCに加入した安藤誓哉の練習風景に密着