ジャパンラグビー リーグワン ライジング20252025年9月27日(土) 中…

ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025
2025年9月27日(土) 中国電力坂グラウンド
中国電力レッドレグリオンズ 15-35 マツダスカイアクティブズ広島

リーグワンライジング プレーヤーエピソード[中国RR]


ラインアウトでボールを投げ入れる中国電力レッドレグリオンズの平野叶苑選手(提供:中国電力レッドレグリオンズ)

2分でトライを挙げた平野叶苑の一歩目。たくさんある叶えたいこと

平野叶苑。望みを実現するという意味の「叶」に、物事が集まる場所という意味の「苑」で「カエン」と読む。「『叶えられることが集まるように』みたいな名前です」と本人は言う。

京都産業大学出身の平野は、今年4月に中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に加入した。大卒ルーキーのフッカーは、「一番重要視されるセットピースは自信を持っていますし、ほかの選手に負けるとも思わないです。フィールドプレーではまずディフェンスで体を当てて、チャンスがあればジャッカル(スティール)もどんどん狙っていきたいです」と自分の強みを語る。

その自信の源には大学までの積み上げと兄の存在がある。平野は3兄弟の末っ子で、父の影響で3人同じタイミングでラグビーを始めた。特に、三重ホンダヒートでプレーする3歳上の次男・叶翔からは多くを学んでいるという。

「最初は『負けないぞ』という気持ちもありましたが、いまは教えてもらうことのほうが多いです。(兄の)ポジションはプロップですが、フッカーもできるし、ジャッカル(スティール)もうまいので教えてもらったり、真似しやすいので参考にしたりしています」

中国RR加入後初の実戦となった『リーグワンライジング2025』のマツダスカイアクティブズ広島戦はスタメンに入った。

「大学引退から10カ月ぐらい空いているので若干緊張はあります。でも、それよりもワクワクが大きいです」と心躍らせつつ、「デビュー戦なので僕がどんなプレーをするのかを見せたいですし、次も使ってもらえるようにしっかりアピールしていきたいです」と気合いを入れていた。

試合前は「緊張しやすいタイプ」と言うが、フィールドに立てば自然と体は動く。「ファーストスローやファーストスクラムをどれだけ良くできるかが、その後の流れや勢いになると思います」と、まずは自信のあるセットプレーでリズムを作るのが平野のスタイルだ。

試合では中国RRがキックオフ直後に相手陣内でペナルティを取り、ゴール前のラインアウトでチャンスが訪れた。平野がスローを確実につなぎ、チームはモールで粘り強く押し進める。最後は平野がファーストトライを決めて先制点を挙げた。

「一番いい試合の入りでした」と好スタートを切った23歳は、「試合開始からすごくいい流れでトライできました。モールは前の人たちが頑張って押してくれたおかげなので本当に良かったです」とうれしそうに話した。

意識していたセットピースでリズムをつかんだ平野は、その後もラインアウトやスクラムで安定したパフォーマンスを見せた。

「スローについては心配していなかったですし、実際に感触も良かったです。スクラムは初めて試合で組むので少し心配はありましたが、両プロップがベテランだったのでお力も借りながら相手の組み方に対応できて、試合中に修正できたのが良かったと思います」

その一方で、「フィールドのワークレートが低かったと思います」と課題とも向き合う。「そこはフィットネスの部分もあると思うし、試合慣れのところが一番大きいと思うので、今後もっとワークレートを上げていきたいです」と向上を誓った。

平野はフィールド上で好感触を得たが、前半終了間際に無念の負傷交代となった。それでも、中国RRで実戦デビューを飾り、新たな一歩を踏み出した。ここから12月に開幕する新シーズンに向けて、目標を見据えながら取り組んでいく。

「まずはリーグ戦の試合に出ることがいまの叶えたいこと。2番をつけてスタートで出ることも目標です」

「森山(皓太)さんや(エドワード・)カークさんみたいにタックルがすごい人がいるので、いろいろ吸収して自分のプレーをもっと磨いていきたいです」

「チームとしてはトップ2に入って(D2/D3)入替戦とディビジョン2入りを目指しているので、そこに貢献したいです」

叶えたいことはいろいろある。リーグワンの舞台で“叶苑”の挑戦が動き出した。

(湊昂大)