ジャパンラグビー リーグワン ライジング20252025年9月27日(土) ド…

ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025
2025年9月27日(土) ドコモ大阪南港グラウンド
レッドハリケーンズ大阪 19-36 九州電力キューデンヴォルテクス

リーグワンライジング プレーヤーエピソード[RH大阪]


レッドハリケーンズ大阪の山田歩季選手(©レッドハリケーンズ大阪)

実戦で感じた悔しさがあるからこそ、練習でもっと頑張れる。誠実なセンターの前向きな決意

若手選手や出場機会が限定されている選手の出場機会の確保と新たな有望選手の発掘を主な目的として、今季新設された『ジャパンラグビー リーグワン ライジング』。若手選手やこれまで出場機会が多くなかった選手にとっては、実戦の経験を積んでさらに成長していくための機会になる。

レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)は、9月27日に行われた九州電力キューデンヴォルテクス戦に登録した27名すべてを日本人選手とし、主に若手選手と昨季出場機会が少なかった選手を起用して試合に臨んだ。その半数ほどが、リーグワンでの出場が10キャップ以下の選手だった。

注目選手の一人に挙げていたRH大阪の山田歩季も、出場経験の少ない選手のうちの一人だ。一つひとつのプレーは正確で、堅実。174cm/89kgでセンターの選手としては決して大きくはないが、パワーもある。泥臭くひたむきに戦うチームの色にも合ったグラウンド上での誠実なプレーぶりも含め、昨季のうちから先輩選手やスタッフに好評価を受けていた。

しかし、同じポジションには、チーム屈指の強さを誇るベテランのパエア ミフィポセチ、サモア代表のヘンリー・タエフ、昨季はコンディション不良から出場機会がなかったが韓国代表経験のある金勇輝、クラブキャプテンも務められるほど人望の厚い鶴田馨やスタンドオフにも入れる射場大輔などがいる。簡単にその席を明け渡してはもらえない。アーリーエントリーで登録していた昨季は、ディビジョン2第13節に途中出場してファーストキャップを獲得したが、出場はその1試合のみにとどまった。

ファーストキャップを獲得した試合は、後半35分からの出場。多くの観客が見守り、照明演出もあるナイターゲームでプレーしたことは「リーグワンチームの選手になったんだな」という実感は持てても、プレー時間は短く、手ごたえのようなものは「はっきりと感じられなかった」のも正直なところだった。

ライジング初戦には、「若手の活躍の場だからチャレンジしていこう」と臨み、後半20分までグラウンドに立った。RH大阪のファーストトライを挙げ、射場が挙げたトライも山田のディフェンス突破からつながったものだ。手ごたえを感じるには、十分な機会になっただろう。けれど本人は、スコアにつなげた二つのシーンよりも、二つのミスに重さを感じている様子だった。

「前に出てオフロードパスをつないでいればチャンスになっていたかもしれない場面が2回あったけれど、僕がミスをした。無理をしない判断もできたと思うし、しっかりパスをとおす技術があればチャンスにできていた」と振り返る。オフシーズンには、実戦経験としてイメージするには物足りなかったであろう5分ほどのわずかな昨季の出場経験も踏まえて、フィジカル面とパス精度の向上に取り組んできていた。オフロードパスに関しては、9月の初めに行った北海道でのチーム合宿でも成長を感じていたところだった。

実戦経験を得て感じたのは、「試合での場面をイメージしていたつもりだったけれど、まだまだ試合の想定をしながら練習をしきれていなかった」ということ。そして、プレーだけでなく、人柄も誠実だからだろう。「練習でそう思えていなかったことは本当にダメなことでしたが」と実直に自らを省みて、こう話した。

「練習でオフロードがとおらなかったときよりも、試合でとおせなかったことのほうがもっと悔しい」

試合に出場しなければ、感じられなかった悔しさだ。その悔しさは、「今まで以上に一つひとつに対してもっと頑張って練習していける」糧にもなる。

この試合で実感のある悔しさを噛み締めたのは、これまで出場機会が少なかったほかの選手たちも同じだろう。ライジングでの実戦経験を得て、12月のリーグワン開幕に向けてさらなる成長へとつなげてゆく。

(前田カオリ)